想いの連鎖 (26/109)
病室に向かう途中、ふと窓の外を見てみればもう日は西に傾きかけていて。
まだオレンジ色までは増していないその光を見て私は思わず手を翳した。
円堂くんが言うには今は特訓期間だということで一度この稲妻町に帰ってきているという。
みんなに会いたいなぁなんて思ったが、今は特訓の邪魔は出来ないとすぐその考えはかき消された。その想いがかき消されると次は何だか今すぐ病室にいるみんなに会いたい、という感情が芽生えてきて。自然と私の足取りは早くなった。
早くみんなによくなってもらいたい。私は見守ることしかできないけど、それでも、もしそれがみんなを支えられるなら、私はみんなの側にいたい。私はそう心で唱え、ぎゅっと握り拳を固めた。
「みんなただいま!」
「朝比奈、おかえり!今トランプやってるんだ!朝比奈もやる?」
「うん!やるやる!」
少林寺くんのベッドを中心にして、何やらばばぬきをしている様子。
私は満面の笑みでそう答えるとみんなの元へ向かった。
でも、そこへ向かうと私はあることに気付いた。
半田くんが、いない…。
「ねぇマックス?半田くん、どこ行ったか分かる?」
「んー?トイレって言ってたよ。しばらくしたら戻ってくるんじゃないかな?」
「そっか…」
なんで私はいつも半田くんばかり気にしてしまうんだろう、と自分の中で疑問ばかりが浮かぶがブルブルと首を振ると近くの椅子に腰掛けた。
きっと何もない。そう自分に言い聞かせると私はトランプに参加させてもらった。
でも、それから何分経っても半田くんは帰って来なかった。
気になってずっとソワソワしていたから長く感じるのかもしれないが、トイレにしては遅すぎるんじゃないかと思った。
それでも今はこらえ、目の前のカードに目を映した。
そうしてまたしばらくやっていた時、さすがに遅いと感じたのかそれを表す言葉を口にする人が増えた。
「半田遅いねー。すぐ戻って来るって言ったのに」
「あれから何分ですかね?半田さん、どこに行ってるんでしょう」
「……」
私はゆっくり眉を寄せるも黙ってみんなの話を聞いていた。
でも、やっぱり気になる気持ちのが上回って。
「……私、ちょっと半田くん探してくる!」
そう言うと私は上がっていることをいいことに一度トランプから抜けると一目散に走っていった。
どこにいるかなんて見当もつかない。だけど、どこかで倒れているんじゃないかとかそんな後ろ向きなことばかりが頭を巡って、今すぐに探さなければいけない、そんな気がした。
何もありませんように…。
そう願いながら私は再び静かな廊下を駆けていった―…。
想いの連鎖
それが、彼を動かしているのかもしれない。
そう思った―…。
to be continued...
最初は宍戸にトランプを渡すことにしようと思ったけど止めました(笑)
もうすぐ私がずっとやりたかった場面(^p^)←またかよ(笑)
楽しみです!!
2012.6.14
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