この溢れる気持ち (23/109)

【半田視点】


いつまでも後悔したって無駄だってことは自分でも良く分かっているつもりだった。

でもやっぱり後悔せざるを得なかった。


何だかなぁとやるせない気持ちで、もう一度ハァと深いため息をした時だった。



「わッ!」


突然隣にあったドアはガラリと音を鳴らした。

かなりびっくりしたせいか、それと同時に俺の身体は大胆に飛び上がった。


起きていたのは俺だけなのに、こんな真夜中に突然ドアが開くなんて思ってもいなかった。

未だビクビクと身体を強ばらせていると、そのドアから出てきた主を見てやっと安堵した。




「なんだ…マックスか…」

「僕だよ!」

「一之瀬の真似しなくていいから…」


マックスは二本の指を立て、ひょっこり顔を出してきた。

そしてにっと笑うと廊下に出てきて、中にいる奴を起こさないようそっとドアを閉めた。




「眠れないんだ」


「うん…ちょっと……」


マックスは俺と同じように壁にもたれかかると、俺にそう問いてきた。

俺は言葉を濁すような感じでそう紡ぐと、「ふーん」と言うマックスを横目にもう一口ミルクティーを口にした。




「本当に、朝比奈のこと大好きだね。半田」


「ブフゥ!ゲホッ…ゴホ……な…なッ…!」


俺は飲みかけたジュースを吹きそうになったが、なんとか吹くのは留めた。

ふ、吹いてないからなッ!
吹きそうになっただけだからなッ!



「ハァ!?そ、そんなことねぇよ!」

「顔真っ赤だよー。大丈夫だって、そんな嘘つかなくてもさ!みんな知ってるんだから」

「よ、余計なお世話だ!」

「説得力ないよー。は、ん、だ、くん!」

「うるさいッ」


説得力がないなんて一番自覚してるのは自分。

こんな真っ赤な顔をして否定したって信じてもらえるはずなんてない。



「ハァ」と本日何度目かのため息を吐くと、俺は折れたかのように俯いた。
そしてそっと小さな声で囁いた。



「俺…大人気ないしさ…朝比奈前にすると緊張して何も言えなくなるし…。いいところ、何にもないんだよ」


「ははは…。そうかもしれないね」

「ひどっ!そんなあっさり言わなくても!」

「あー…ごめんごめん。つい本音が」

「フォローになってない!」


夜だというのにも関わらずお腹を押さえて笑うマックスにハラハラする俺。

周りの人が起きてしまわないかと焦っていると、マックスはやっと落ち着いたようで、ふぅと一息吐き正気に戻った。


そして先程とは打って変わって真剣なような表情を見せるとにっと歯を見せて笑った。



「ま、頑張れ半田。もっと自信持ってさ!」


「っ……」


「これでも応援してるんだからなー!」

「マ…マックス…」


そのマックスの台詞でなんだか急に目頭が熱くなってきて。

嬉しさのあまりマックスに抱きつきに行こうと思ったが、あっさりかわされた。が気にしない!

マックスが応援してくれてるなんて思ってなかったし、俺を元気づけようとしてくれたことが何より嬉しい。


目をウルウルとさせてマックスを見つめているとグッと俺の顔を押さえて「気持ち悪い」なんて言ってきたが、それでも俺に突き刺さるような感じではなかった。

そんなの本音じゃないって分かってたし、ただいつもみたいに弄ってるんだろうなって思えたから。

本音だったら俺きっと立ち直れないけどさ!


でもそのマックスの台詞で、本当に頑張れそうな気がしたんだ。



俺はまた一口、ごくりとミルクティーを飲んだ。


そしたら、今度はちゃんとミルクティーの味がしたんだ―…。





この溢れる気持ち


きっと、もう止まらないんだろうな―…。


そう思って俺は静かに微笑んだ…。


第一章 end.
next. 第二章

to be continued...

ふふふ…半田くん弄られまくりですね(^O^)

ずっとずっと書きたかった場面がやっと書けて満足です!!

ということで、マックスが半田くんの見方になりましたとさ。
なんて(笑)

そして、ずっとずっと書きたかった場面だけあって描いちゃいました(笑)

管理人の自己満&管理人の残念な画力+夢絵ですので本当に大丈夫な方のみ閲覧お願いします!
今回のどこかの場面です!!

本当に残念すぎて失明してしまわないように…!!管理人は保証しません!!←
夢絵はこちら

第二章も頑張ります!

2012.6.6(半田の日←笑)

[bkm]

 [prev]│[next

 (back)



×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -