分かってる。 (22/109)
【半田視点】
「ハァ……」
朝比奈が帰り、あっという間に辺りは真っ暗になって、そして消灯時間から二時間程が過ぎた。
部屋の電気は既に消えてあるため真っ暗だし、頼りに出来るのは外の月の光だけ。
そんな中、聞こえるのはみんなの寝息と時計の音。
今日いろいろあったこともあり、なかなか寝付けられず、なぜか虚しさを感じた俺はハァと1つ深いため息を吐いた。
「半田、お前朝比奈のこと好きでしょ」
「半田ァ…。もっと手加減してやれよ!朝比奈は初心者なんだからさ!」
「ったく…大人気ないなぁ!」
そんな虚しい空間で自然と思い出すのはマックスに言われた言葉ばかり。
それは俺にとったらトゲのあるモノばかりで。
その言葉を思い出す度、俺は「うー…」と声を漏らした。
確かに俺は朝比奈が好きだし、今日のことだって大人気なかったとは分かってる。
でも胸がなんていうかこう、妙に熱くなる。
チクリとトゲが刺さったように痛くなる。
きっとこうなるのは今日、"もしかするとマックスも朝比奈が好きなんじゃないか"と思ってしまったからなんだろう。
何だか妙に朝比奈にくっつくような素振りを見せつけてきたし、そんな俺を見てニヤリと笑ってきた。
嫌だけどもしかするとと考えてしまう俺がいた。
そんな嫉妬の表れで、今日のゲームだって手加減するとかそういうことは上手く出来なかった。
つくづく自分の幼さを感じる。
ずっとずっとそんなことを考えていた為、考えが纏まらず寝付けるはずもなかった。
俺は静かに被っていた毛布を捲り、ベッドの上に置いてあった朝比奈から貰ったミルクティーを手に取ってそっと病室を出た。
所々豆電球が廊下を照らしていたので、ドアを開けた瞬間少しだけ俺は目を細めた。
でもだんだん目が慣れていくと、俺は身を任せるようにドアのすぐ横の壁にもたれかかった。
そしてキャップを開け、そのミルクティーをゴクリと一口分だけ喉に流し込んだ―…。
分かってる。
今更後悔したって、無駄なことくらい―…。
美味しいはずのミルクティーが、何故かただの水のように感じた…。
to be continued...
ただの水のように感じた。
というのは隠喩っていうんですかね…?管理人バカだからいまいち分かりませんが、遠回しに"そんなことも分からないくらい悩んでいるんだよ"って言ってます(^O^)
遠回しすぎか…(苦笑)
次の話で第一章は終了です!!
長かった…。
2012.6.3
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