傷付く彼に (20/109)



何やらマックス達はゲームの通信をし始めたようで。

「勝ったー」とか「負けたー」だとか、そんな元気な声が病室に響いている。


実際、腕を負傷した半田くん、マックス、少林寺くんはやり辛そうにやっていたけれど、それでもタッチペンを上手く利用し楽しくゲームをやっているみたい。


私はというと、それをただ眺めて微笑んでいるだけ。
だけどつまんないなんて感じないし、寧ろ彼らの元気さからエネルギーを貰っているくらい。


でも、それと比例して"こんな感じでずっとずっと元気でいてもらいたかった"という、もう不可能な願望まで湧いてきた。

今更そんなのを感じたって元気じゃなかった前の時に戻れる訳はないんだし、思うだけ無意味だなんて分かってる。


だけど、今こうして元気だからこそ、円堂くんやみんなと一緒に宇宙人を倒しに行ってほしかったと思ってしまうのかもしれない。



そんなことが頭の中を走馬灯のように駆け巡っていた時だった。



「ねぇ朝比奈もやろうよ!楽しいよ!」

「え…?」

「いいから早く早く!僕のゲーム貸すからさ!」

「でも……わッ…!マ、マックス!」


さっき考えていたことが一瞬にして消えてしまった。

そしてそれと同時に、マックスはベッドから立ち上がり、私を押して自分のベッドへと誘導した。


いきなりだったからやっぱり焦りを隠せれなくて。

思わず変な声を漏らすと、気付けば私はマックスのベッドに座らされていて手にはゲーム機。


何が何だかさっぱりな私に、マックスはただ私に軽くゲームの説明をしてくれていた。



ちょっぴり触れているマックスの身体から温かな体温を感じ、自分の体温も高くなっていくのが分かった。



見たこともない画面に必死に食らいついていくのが精一杯で。


私はその間、周りがどんな状態なのか、彼らがどんな表情をしていたのか、

見れるはずもなかったんだ―…。




傷付く彼に


気付かず、私はただただ画面の世界に吸い込まれていた―…。


to be continued...

単なる嫉妬させよう作戦(笑)
フツー!!フツー!!でも気にしないで下さい←

2012.5.25

[bkm]

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