じゃあ、せめて (16/109)
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「みんなーおはよう!」
「朝比奈!」
キャラバンを見送った次の日。
また私はみんなの元へと足を運んだ。
何をワイワイ騒いでいたのか分からないがみんなニコニコしていて。
何となくいい気分になりながら近くにあった椅子に座った。
「あ、そうだ!みんな何かジュース飲む?私買ってくるよ」
「あっじゃあ僕レモンティー」
「じゃあ俺はBBレモンお願いします!」
「オレンジジュース!」
「りんごジュース…」
いろんな注文を受け、私は慌てて紙にメモを取った。
でも注文を受けたやつを何度数えても5つにはならなくて…。
私はメモから視線を外しパッと顔を上げた。
「半田くんは……何が欲しい?」
「え…っ…」
そう、さっきの注文の声の中に半田くんがいなかった。
「え、と…。俺はいいや」
「いらない?」
「うん…今は遠慮してく。ありがとな」
半田くんはそう苦笑いして私にそう言うとまた外へと視線を移した。
そして何の表情も見せないまま、上の空の様子でじっと空を眺めるだけだった。
そんな様子の半田くんを見て私は眉を寄せると静かに首を傾げた。
最近何だか半田くんの様子がおかしかった。
前の時も何だか寂しそうな表情を見せたり、一之瀬くんと病室を去った時はムッとした表情を見せた。
今日だって、あんまり元気があるようには見えない。
体調が悪いのかな、と思った時、半田くんの目の下に隈があることに気がついた。
「半田くん、隈…!まさか昨日あんまり寝れなかったの!?」
「え…あ、これは…」
半田くんはハッと我に返ると首筋辺りに手を伸ばし、チラリとマックスの方を見た。
私もそれに合わせてマックスを見ると、マックスはにっと歯を見せて笑い、後ろから1つの枕を取り出した。
「枕……返してもらえなかった、だけ…だから」
「半田が投げるからでしょー!」
「も、元はと言えばマックスが…!」
最初はいまいち理解が出来ずパチパチと瞬きさせていると、ようやく理解して。
「あらあら…」とクスクス笑うとなんとなく、ほっとした気持ちになった。
これがきっかけに半田くんも少し元気になってくれて、特別体調が悪いわけではなさそうだと分かって、きっと私自身安心したんだろう。
そのやりとりを横目に、じゃあ買ってくるとだけ言うと私はジュースを買いに一階に足を運んでいった―…。
じゃあ、せめて
飲みたくなった時のために、
もう一つだけ、ジュース買っていこう―…。
to be continued...
前回の枕事件(笑)
ちょっと続けてみました(^O^)
結局松野クンは返してくれなかったんですね!!
みんなの好きなジュースとか分からない、適当で((
2012.5.7
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