それでも (13/109)
【半田視点】
夢なんじゃないかと思った。
今、目の前にいる奴を見た時、俺は錯覚を見てるんじゃないかと陥った。
「朝比奈…?」
「ただいま」
そう、今俺の目の前にはにっこり笑う朝比奈がいたから。
なんで、なんで朝比奈が…。
なぜ今ここに朝比奈が居るのか。
なぜ宇宙人退治に行った朝比奈が、なぜお別れしたはずの朝比奈が今ここにいるのか。
何もかもが理解出来ず、俺は目をパチパチと瞬きさせ、ただ朝比奈を見つめることしか出来なかった。
「どう、して……」
あれから俺はマックス達から逃げるように廊下に出てきた。まだ何となく入り辛かったため、結構長い間廊下に立っていると、どこからか足音が聞こえてきた。
なんだ、と思ってそちらを見てみればふわふわとゆるカーブを描くセミロングの朝比奈が歩いてくるのが見えた。
錯覚だと思い目を擦って見たがそれでもやっぱり朝比奈は俺の前にいて。
「ただいま」と言うといつもの柔らかい笑顔を俺に見せてきた。
「えへへ、残っちゃった」
「……っ…!?」
その衝撃な台詞を聞いた俺は、つい自我を忘れて朝比奈の肩を持ちブンブンと揺らした。
「どう、して…!どうして残ったんだよ…。宇宙人倒しに行くんじゃなかったのかよ!」
「………」
「またね…って…今朝、お別れして…っ…」
行って欲しかった、って言えば嘘になる。
あの時、確かに俺は寂しさを感じていた。朝比奈が行ってしまうことに、みんなが行ってしまうことに、そんな感情を抱いていた。
でも、ここに残ったって朝比奈の為になんかならないし、寧ろ円堂達に着いていった方が朝比奈の為になるに決まっている。
もし円堂達と一緒に行くことが、朝比奈の為になるなら俺はそんな寂しささえ我慢するつもりでいた。
それで朝比奈が元気になってくれるなら、と。
疑問と焦りが未だ頭を渦巻く俺は、まだ気掛かりながらもゆっくり朝比奈の肩から手を離した。
「半田ー?どうした?」
俺が大きな声を出したせいか、ちょうど朝比奈の肩から手を離した時、病室の方からひょいとマックスが顔を出した。
「…っ…朝比奈!?」
やっぱりマックスも朝比奈がいることに驚いたようで、そう大きな声を出すとそれに反応した一年が次々に病室から顔を出した。
「朝比奈先輩!」
そんなみんなを見て安心したのか、朝比奈はにっこり笑うと、無茶はダメだと俺達を病室へと促した。
それでもやるせない俺は、ただただ1人孤独を感じ、みんなの背中を見てその場に突っ立っていた―…。
それでも
嬉しかった。
なんて思ってしまう俺は、ただの弱虫でしかないんだ―…。
最後1人残った俺は、静かに横で拳を固めた…。
to be continued...
ここからプロローグの部分に戻ります!!
意外と長くなってしまったァ…。
半田くん出番きたきた(^O^)
2012.4.15
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