頑張って、みんな (12/109)
「ここに残りたいの」
私が意を決してそう言うと、やっぱりみんなは驚くように目を見開けた。
ようやく言葉にすると不思議と涙が浮かんできて、誤魔化すように「へへっ」と笑い、出そうな涙を堪え私は言葉を紡いだ。
「心配なの。入院しちゃった、みんなが…」
「楓香…」
一之瀬くんが一瞬眉を寄せたのを目にすると、円堂くんは私の前までやってきた。そして私の肩に手を乗せると真剣な眼差しを私に送った。
「分かった。みんなを頼む」
「円堂くん…!」
その台詞に私はパァと笑みを浮かべると「うん!」と大きく頷いた。
「頼んだぜ、半田達を」
「任せたでヤンス先輩!」
それに続いて風丸くんや栗松くん、みんなが私を押してくれた。
みんな、私の意志を理解してくれた。
エイリア学園を倒すと決めたその時からずっとあったモヤモヤしたのは消え、スッキリした気持ちになることが出来た。
私の意志を理解してくれると、次々にキャラバンに乗り込むみんな達。私は最後に、とみんなが乗るのを見つめていた。
でも、辺りを見渡せば、そこにはまだ1人残っていて。
俯いたままで、キャラバンに乗ろうとする素振りを見せなかった。
「一之瀬、くん……」
「楓香……」
一之瀬くんは顔を上げると、ゆっくり私に近付いてきた。
「本当に、来ないのか…?」
「うん…。みんなが、心配で…」
「そっか…。やっぱり、そうなんだな…」
一之瀬くんはそう苦笑いをして、何となく寂しそうな表情を見せた。
そして次の瞬間に、一之瀬くんはギュッと私に抱きついてきた。
「しばらく、会えなくなるな…」
「そうだね…」
その震える身体が何を意味するのか、今の私には理解することが出来なかった。
その小刻みに揺れる一之瀬くんに私は眉を寄せた。
「一之瀬、くん…?」
「ごめん…。いきなり抱きついちゃって」
「ははは」と乾いた笑い声でそう言うと一之瀬くんは私から離れ、片手を頭の後ろにやった。
「何となく、最後に抱きつきたくなっちゃってさ!」
「ふふっ…びっくりしちゃった!そうだよね、だって私は一之瀬くんの相談相手、ってだけだものね。昔からずーっと」
「ははっ…。そうだった、ね…」
一之瀬くんは眉尻を下げ静かに笑うと、真剣な瞳に戻り、イナズマキャラバンの前まで来た。
そしてゆっくり二本の指を立てた手を頭の上まで持ってくると、ピッと前に出した。
「じゃあ、行ってくる」
「うん!」
そして最後に笑顔を見せるとイナズマキャラバンの中へと入っていた…。
「イナズマキャラバン、発進スタンバイ」
「おぉー!」
「イナズマキャラバン、発進!」
その瞳子監督の台詞でイナズマキャラバンは宇宙人退治へと、旅立っていった―…。
頑張って、みんな
私はずっと応援してるから―…。
モニター越しでイナズマキャラバンを見送ると、静かに私は微笑んだ…。
to be continued...
遅れちゃいましたが…
この夢小説では、一秋などカップリング派の方にはお勧め出来ません!!
恋愛フラグ、立っちゃいますんで…。遅くてごめんなさいぃぃ
にしてもなかなかニヤニヤしながら執筆しました…!!
楽しかったです(^//^)
2012.4.5
2012.6.16 加筆修正
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