お星さまにお願いを



「みんなー!」
「?」

ガラリと部室の扉を開けて飛び込んだのはみんなの不思議そうな表情。その表情にニンマリと笑みを浮かべ私を含めたマネージャー、4人は目を合わせた。

そしてコクリと頷くと秋ちゃんは背に隠していたあるものを前に突き出した。


「じゃーん!七夕の笹です!」


その春奈ちゃんの声と同時に見開かれるみんなの瞳。そう、今日は七夕だ。

秋ちゃんが差し出したのはもちろんのこと、笹。
私はニコニコと笑みを浮かべると部室でのんびりしていたみんなに一つずつ短冊を渡していった。


「はい、短冊!お願い書いてねっ!」

「え、え…?」


未だに状況を理解し切れてないメンバーもいるがそれでもニコニコを絶やさない。


「楓香…?これはいったい…。あれ、あれ?」

「ふふふっ…実はねー…」


円堂くんが頭にハテナを浮かべて私をじっと見つめてくるので、私は今の現状を理解してもらうべくこれまでの過程を淡々と話していった。



「あー…。そういえば明日は七夕だね…!土曜日かー…部活あるよね」
「そういえばそうね。えぇ、もちろん部活はあります」
「で、ですよね…。でも七夕かぁー!笹とかあればみんなで飾り付けとかしたかったな…」
「笹?笹ならお父様に頼もうかしら?」
「え…夏未さん、それは…!」
「短冊と飾るものも頼んでおくわ。朝比奈さんに拒否権はないもの、いいわよね?」
「えぇっ!?でも…!」
「あ、お父様?至急七夕の笹と短冊と飾るものを持ってきてくださるかしら」
「夏未さぁぁぁん!」



と言うわけで、ポロッと夏未さんの前で本音を言ってしまった結果、さすがお嬢様というべきか、僅か30分も満たないうちに七夕セットが届きました。

そんなこんなで手に入れてしまった七夕セットを次の日、言わば今日この部室に運んだというわけ。夏未さんがちょっと照れくさそうにゴホンと1つ咳払いをしていたので私は苦笑いを浮かべた。



「願い事かー。俺どんなこと書こうかな」
「もう俺決まってます!」

「みっ見るな…!」
「えー…ケチィ…」


現状をやっと理解したであろう部員達は短冊を片手にワイワイと騒ぎ出す。それに顔を合わせたマネージャーはクスッと笑った。

見たかった笑顔が見れただけで、はっきり言ってしまえばもう満足だった。みんなでワイワイ騒いで、願い事を考えて。それがしたくて私はみんなで七夕を楽しみたいと思った。やっぱりその気持ちは間違っていなかったみたい。

私は短冊に願い事を書くみんなの周りをちょろちょろと歩いていた。




「あ、風丸くん。出来た?」
「あぁ!」

「どれどれ…。ふふっ、風丸くんらしいなぁ!」
「そう…かな…。ありがとう…」
「じゃあ笹に飾ってね!」
「ああ!」



「あれ、一之瀬くん?」
「おー楓香」

「出来た……ん…?えっえっ誰に!?何々!?」
「内緒ー」
「えぇ!?気になるよー…」
「そのうち分かるよ」
「うーん…そっか…」



「半田くん?どうした?」
「えっ…いや、マックスがさ…見てくるから…って…見るなァッ!ちゃっかり見るなよ朝比奈!」

「え、ごめんなさい…!いや…気になっちゃって…。でもきっと笹に飾るからみんな見ちゃうよ?」
「うっ…。やっぱりやめる!」
「えぇ…何やってるのさ半田。これだから半田はいつまで経ってもダメなの」
「うるさいッ!」



「ふぅ…あれ、豪炎寺くん何して…って、豪炎寺くぅん!?」
「………」
「豪炎寺くん!お願いだから止めて!キャラが…。ダメだよ…というかソレお願いじゃないよ豪炎寺くんッ!ってあれ、鬼道くん…?あれれ…?なんで黙り込んじゃうのォ!?黙り込まないでよ、お願いだからァッ!」



ユニークなお願い(?)ばかりでどうやら今年も飽きることはなさそうだ。若干呆れ混じりの幸せなため息をつくとゆっくり七夕の笹を見上げた。

みんな一つ一つのお願いがあって。叶うために一生懸命で。頑張ってる。だから、少しでも多くの願いが叶うことを願いたい。



『誰よりも速く、そして強くなりたい』

『アイツに早く気付いてもらえますよーに!』

もっと仲良く… 俺だけの必殺技がほしい もっとサッカー上手くなりますように!』

夕香夕香夕香夕香夕香夕香夕香夕香夕香夕香夕香… もっと強く…』

春… 絶対な指令でチームを勝利に導けますように』


私がじっと短冊を見ていたとき、隣に円堂くんがやってきた。円堂くんは短冊をどこにつけようか迷っているよう。


「円堂くんは何をお願いするの?」
「俺?俺はコレだよ!」

「ふふっ…。いいね!私もそう思う!」
「だろ!!」


円堂くんは「よし、ここ!」と短冊を飾るところを決めたようで、前に出て笹に短冊を飾った。そして飾り終えるとサッカーボールを持って部室のドアを開けた。


「みんな!サッカー、やろうぜ!」

「「おうっ!」」


円堂くんを先頭にみんなは部室を勢いよく出て行く。部室に残った私たちは顔を見合わせ、部室を出た…。



『みんなといつまでもサッカーやれますように!!』



みんなの短冊は、キラキラと部室の中で輝いていた―…。







どうか、いつまでもみんなが笑顔でいられますように…。


これからも、ずっとずっと―…。


end.

ということで七夕ネタでした!!
ほのぼのというよりグダグダなんじゃないかt((
もう豪炎寺に関してはごめんなさいしかないですホント。某アニメのあんぱんの彼、的な?あんぱんあんぱんあんぱんあんぱん…(笑)
はい、本当に申し訳ありませんでしたァッ!!

でも楽しかったです(*´ω`*)

2012.7.7


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