一緒にDVDを見ようと宮地先輩の部屋に来てみたけれど、流れる映像の中隣に座っている宮地先輩の目は閉じたり開いたりを忙しなく繰り返していて今にも眠ってしまいそう。跳ねた前髪がこくんこくんとするたびに揺れている。こんな先輩の姿は珍しかったからついDVDよりもそちらに目が行ってしまう。気付かれないようにこっそりと覗き見していると、傾いた先輩の身体が僕の肩にもたれかかるような形になった。

「先輩?眠いんですか」

声を掛けてみるととろんとした目でこちらを向いて、自分の状況に気付くと慌てて身体を起こしてしまった。

「い、いや…昨日課題が終わらなくてほとんど寝ていなかったから…少しだけ」

途切れ途切れに言う言葉とほのかに赤く染まった頬、少しだけと言いながらも思いっきり眠たそうな顔をしている宮地先輩の頭は、きっと慌てた気持ちと眠気とで上手く回っていないのだろう。その重たそうな瞼は今にも閉じてしまうのではないかと思うほどで。課題で寝不足なくせに部活の練習にも全力投球、それでは相当疲れているに違いない。一緒にいたいところだけれど先輩に無理させてまで我儘を言うつもりもない、今日は大人しく帰ろうか。

「なら、今日ははやく寝てください。僕自分の部屋に戻りますから」

DVDを消そうとリモコンを探すと、その動きは宮地先輩の手によって制止される。予想外のことに驚いて先輩の方をみるとその顔は先程よりも赤くなっていて。

「別に…戻らなくて…いい」
「でも、そしたら先輩寝れないじゃないですか」
「寝る!…から」
「から?」
「肩を貸せ」

言い終わるが早いか、宮地先輩は僕の肩に頭を乗せて目を閉じた。そんなに真っ赤な顔をして緊張してたら眠れないんじゃないだろうかとすら思うけれどそこがたまらなく可愛い。眠いからなのか素直に甘えてくることが嬉しくてつい口元が緩んでしまう。

「お前がいたほうがよく眠れる…気がする…」

ぽつりと呟かれた一言ははっきりと耳に届き、僕の心臓の音をはやくした。しばらくして肩口に掛かる重みが増し、小さく寝息が聞こえてきた。まどろみの中へと落ちて行った先輩の髪の毛に触れているうち徐々にやってくる眠気。ふわりとした雰囲気に包まれてそのまま僕も夢の中へ沈んでいった。



おやすみ、かわいい子



title:サーカスと愛人







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みうさんへ相互記念として贈らせていただきます。甘える宮地というリクエストだったんですけど…甘える宮地って難しいですね(´ω`)とってもときめくシチュエーションだけに…!
これからもどうぞよろしくお願いいたします!

2011.05.16  しぎみや




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