廊下を歩いていると"それ"は嫌でも目に付いた。一人は学園でただ一人のお姫様、もう一人は僕のかわいいかわいいお姫様、だったから。
顔を綻ばせている宮地先輩を見て少しだけムッとしたりして。いつもは怒った顔ばっかりしてるくせに…夜久先輩と話してるからなんだろうか。なんとなくおもしろくなくなって、当然そのまま通り過ぎることなんてするわけがなくて、からかってやろうと二人に近づいた。

「せーんぱい、こんにちは」
「梓くん、こんにちは」
「先輩たちが楽しそうに喋ってたから来ちゃいました」
「…別に来ることないだろう」

あ、眉間にしわ寄った。

「宮地先輩、夜久先輩と話してる時はにこーってするくせに、僕が来ると怒った顔するんですね」
「なっ…そんなこと」
「あるでしょ?」

慌てた顔をする宮地先輩を見るのは楽しいけど、やっぱりちょっとおもしろくないからつい意地悪い言い方をしてしまう。

「ところで夜久先輩、何の話してたんですか?」
「えっとね、梓くんの話だよ」
「え?」
「おい、夜久…!」
「お菓子の話してたら梓くんはお菓子好きかなって話になって、それから梓くんの話してたよね?」
「そういうことじゃなくてだな…」

おもしろかったんだよって笑顔で話す夜久先輩と、その横で耳赤くしてそっぽ向いてる宮地先輩。ああ、これはつまり。先輩の顔が綻んでいたのは、夜久先輩と話してたからじゃなくって…。
偶然あった目線が思いっきり逸らされて、さっきよりも怒ったような顔してるくせに耳は真っ赤なままなもんだから、可愛くて仕方ないじゃないか。チョッカイ出して反応見ようと思ったのに…なんだか、カウンター食らったみたいだ。



放課後ラブアフェア



title:パッツン少女の初恋




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