ガタンガタン、揺れる電車の窓から見える空の色は深い藍色をしていて、夜明けにはまだ時間がかかるということを告げている。小さく光る星がいくつか目についた。始発の電車に乗り込んだ俺とぬいぬい。二人で少しだけ遠出しよう、と言われたのが年明けで、それからなんとなくの予定だけを立てて今日を迎えた。楽しみで楽しみで…ぬいぬいと一緒にいられるだけでも嬉しいのに、この日ばかりは二人だけで出かけられる。そう思ったら気が高ぶって案の定昨日の夜は寝つけなかった。

「着くまで大分時間があるから、寝ててもいいぞ」
「ぬ?」
「どうせ、昨日眠れなかったんだろ?」

いつも優しいぬいぬいなんだけど、今日はいつも以上に優しい気がする。だって、俺を見る目がふんわりしてる。

「じゃあぬいぬいの肩貸して?」
「調子に乗るな」
「ぬーいいじゃんかー」

ぬいぬいにぴったりくっついて目を閉じると、電車の暖房が暖かいのか、ぬいぬいがあったかいのか、心地よさが広がる。眠い頭なのに、どうにも寝るのが惜しい。うっすら目を開けたら、窓の外に見える景色が少し明るくなっていた。

「ねえ、ぬいぬい?」
「ん?」
「俺ね、今日がすごくすごく、すごーく楽しみだったんだ」
「ああ」
「楽しみすぎて、終わっちゃうのが怖いって思うくらい…。まだ当日にもなってないうちからそんなことをずっと考えてて…今も、今日が終わらなければいいのになって」

目を伏せながら胸にあった言葉たちをゆっくり並べてみた。今日という日は、1回しかやってこない。終わってしまったら、今日はもう戻ってこないんだ。
ぬいぬいは、何ていうだろう?そう思っていたら、俺のおでこに鈍い痛みが走った。

「いった!デコピンしたー!?」
「お前が馬鹿なことばっかり考えてるから」
「…結構真面目に考えてたんだぞ?」
「あのな、翼…」

諭すように話し始めたぬいぬいの声はやっぱり優しくて、思わず押さえたおでこの痛みも分からなくなってしまうようだった。

「始まりがあったら終わりがあるけど、終わりがあるから次が始まる」
「次…?」
「お前、一緒に出掛けるの、これを最後にしたいのか?」
「え!やだ!絶対いやだ!!」

大きく首を横に振って主張すれば、ぬいぬいがだろう?って言いながら微笑んだ。

「今日は今日で楽しまなけりゃならないんだ。わかったら、次はお前が誘えよ」
「うぬ!」

終わることを恐れる俺に、次が始まることを教えてくれたぬいぬい。いつもそう。俺が不安になると、いつも明るい道を教えてくれるんだ。横に座るぬいぬいの顔をのぞき見て、

「ぬいぬい、だいすきだぞ」

って言ったら、少し顔を合わせてから徐に目線をそらされた。そのあとにポツリと声が聞こえる。

「いいから寝ろ」

窓の外はさっきよりも明るくなっている。目が覚めたら、きっといい天気なんだろうな。揺れる電車の音と重なるように胸が鳴った。




終わりある物語の結末は









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みうさまへ!
大変遅くなってしまって申し訳ありません…しかもつばぬいのみう様につばぬいを贈るとか何とも言えない感じではございますが…受け取ってもらえたらうれしいです。
0204で電車でほのぼの遠出…になっているのか…つばぬいになっているのか不安ですが…ここ最近ずっと考えていたことに一番当てはまるのがつばぬいでした、はい。なんていうか…あの…みうさん、すきです!ありがとうございました!

しぎみや




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