「もしもし?」

12月31日もあと数時間で終わるというころに、携帯が鳴った。ディスプレイに表示された名前は不知火一樹。通話のボタンを押して電話に出ると、聞きなれた心地よい声が耳に届いた。

「誉、今日の夜は出てこれないか?」
「今夜?」
「そう。お前と初詣に行きたくて」
「それはまた…唐突だね」
「たった今思いついたからな」

得意気に言う一樹の顔が容易に想像できて笑ってしまった。さて、どうしようかな。妹達に今夜は一緒に年越しをしようねと前々から言われていたものだから。それを断るわけには行かない。でも…この恋人からのお誘いを断ったらきっと一樹はしょんぼりするんだろうな。そんな一樹の姿を考えたら、それもそれでおもしろいかもなんて思ってしまうけど、一樹と年を越したくないといったら嘘になる。

「ねぇ、一樹」
「ん?」
「今夜は妹達との先約があったんだけど」
「ああ、なら悪かった。なら、また別の日にでも…」
「うん、だからね」
「ん?」
「妹達も一緒に連れて行ってもいいかな」

声だけでなんとなく分かる。一樹が少し残念そうな顔になって、そして今度は嬉しそうに笑顔を作っているということが。弾んだ声が耳に届く、それだけで想像ができてしまうのは一樹がわかりやすいからかな?それとも、僕が一樹のことをたくさん想っているせいかな?なんて。

「なら、お前の家まで迎えに行くから、寒くない格好して待ってろよ」
「うん、わかった」
「じゃあ、また後で連絡する」
「お待ちしてます」

そして電話が切れる。さて、かわいい妹達に初詣のお誘いをしなくっちゃ。着物を着付ける準備も一緒に、ね。



相談しましょう、そうしましょう


title:発光





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