お城に居候が増えてから忙しくなった毎日に、楽しさもあるけど一抹の寂しさも生まれていて。私は廊下ですれ違ったミホークと目が合ったけれど、ちょっとした意地を張ってしまい、彼を無視して横を通り抜けようとした。
しかし、彼の横を通る瞬間、腕を掴まれてそしてそのまま壁にとんと軽く追い込まれる。


「な、なによ」
「無視するとは、良い度胸だな」


少し不機嫌そうなオーラ。近付いてくる顔に思わずギュッと目を瞑ったが、予想に反して唇が重なることはなくうっすらと目を開けると、意地悪そうに笑みを浮かべてミホークは囁いた。


「キスされると思ったか?」
「な……!」


かぁっと一気に顔に熱が集中する。くつくつと笑うミホークに羞恥心が耐えられなくて、私はふいと顔を背けてその場から逃げようとしたけど、股の間に足を入れられて腕は壁に縫うように抑えつけられているから動く事なんてできない。


「…離して」
「嫌だと言ったら?」
「っ…、ここだとペローナ達が来るかもだし…」
「ああ、部屋に誘ってるのか」
「ばか!違うって……」


唇を突然奪われ言葉を遮られる。不意打ちのキスに私の頬はさらに熱を帯び、そんな様子にミホークは楽しそうに笑みを浮かべて、ひょいと私を抱きあげて歩き出した。


「ど、どこに行くの!」
「部屋に決まってるだろう。誘われたからには、きちんと答えなければな」
「だから違うって…」
「嫌か?」


一度立ち止まり、目を見つめてそう聞かれたら、言葉に詰まってしまう。視線を泳がして、だけど「嫌」なんて言えないし、それに心のどこかで期待してる自分に気付いてしまったら、もう答える事なんてできない。
目を伏せて私は小さく首を振った。満足に笑うミホークを見上げて、私はまた彼に振り回された事に溜息をついて、彼の胸元をきゅっと握った。




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