「ねえロー?」
「…」
「好き、私ローが好き」
「……」
「大好き。もうね、好きで好きでしょうがないの」


ソファに深く腰掛けて本を読むローの隣で、私は彼に必死に話しかける。だけどローは返事もせずにじっと本だけを見つめている。


「本当に好きなの。今まで出会った人の中で一番好き。世界で一番好きだよ、ロー」
「……」
「好き、超好き。ローのことばっかり考えてるくらい好き、大好き」


頭の悪い私はこの気持ちを上手く表現できないから、馬鹿みたいに「好き」を繰り返す。何度も何度も伝えて、きっと私は一日で「好き」って言葉を最低百回は使ってるんじゃないかってくらい。

だけどローは何も答えない。私は寂しくてローの腕を引っ張ってもう一度言う。


「ロー、好き。だから、返事して?」
「………少し黙れ」
「でもさっきからずっと本ばっか読んでるよ?少しくらい構ってほしいなって、思うの」
「…うるせぇ」


ローはそうぶっきらぼうに言って腕を振り払う。

しゅん、と項垂れる私だけど、ちゃんと気付いている。彼の耳が真っ赤になって、ついでにほっぺも林檎見たいに赤く染まっている事に。そして、持っている本は先程から一ページも進んでいない。


「好き、好き、好き。ローが好き。好きなの、大好き。ローがいない人生なんて考えられないよ」
「…………っだから!分かったから!一回黙れ!」


ローはようやく本から顔をあげて、真っ赤な顔で私から微妙に目を逸らしながらそう怒鳴った。
怒ったように腕を組みつつもこちらを向いてくれた事に私の頬はほころんで、にこにことローの顔を見つめる。

整った顔立ちにすらりとした体型。見た目だけでこんなに完璧なのに、低くて甘い声や、冷たいように見えて情に熱くて、こうやって照れ屋なところ。全部全部好き。好き過ぎておかしくなっちゃうんじゃないかってくらい。


「ロー、ちゃんと私の目を見て」
「……嫌だ」
「好きだよ、ロー」
「…………っ、だから、お前はなんでそう……」


舌打ちをして溜息をついて。渋々と彼は私の目をじっと見つめ返してくれた。だけど、五秒も経たないうちにまた目は逸らされてしまう。
私は彼の手をとってそっと指をからめてみる。抵抗しないローをいいことに、その手を頬に持ってきて彼の手の熱を確かめてみた。熱くて、愛おしい体温。


「ローの手、熱いね」
「…うるせぇよ」
「大きくてあったかい、ローの手大好き。手だけじゃなくて、全部好きだけど」


ちゅっと彼の手の甲に唇をつけると、ローはぴくりと肩を揺らした。

こんなにカッコよくて、普段は男前なのに、私の「好き」という言葉でいとも簡単に動揺して、こうやって頬を赤く染め上げるローが可愛くて愛おしくてたまらない。好きで好きで好きで好きで仕方がないのだ。

「ローは私の事好き?」と聞いたら、さらに顔を真っ赤にして、そして数十秒躊躇った後に小さな声で「好き」と答えてくれた。

 



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