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お昼時になり、朝から外に出ていたゾロ君とミホークさんが戻ってくるのを待ってから料理を運ぶ。
みんな揃って昼食を取るのは久しぶりだったかもしれない。特になんの疑問も持たず、私はミホークさんの隣に座って話しかけた。


「今日のお昼は私が作ったんです」
「そうか、ありがとう」


大したものを作ったわけではないが、大きな手で頭を撫でられると嬉しくて頬がほころんでしまう。この人のために、もっと美味しいものを作ってあげたいなぁという気持ちになる。


「……仲直り、したんだな」


反対側に座っていたペローナちゃんがそう呟いて、私は周りに人がいたことを改めて思い出した。
ゾロ君は気にせずにご飯を食べているが、真正面のペローナちゃんに一連の絡みをまじまじと見られていたのはさすがに少し恥ずかしくなる。


「あっ、えっと…!」
「分かりやすいにも程がある」
「…ペローナちゃん、心配かけてごめんね?」


私のことを心配してくれていたペローナちゃんに、ミホークさんとの間にあったわだかまりのようなものが解けたことを未だ話しそびれていた。
起きたことをそのまま話すのはさすがに恥ずかしくてうまく説明できなかったのだ。

素直に謝ると、ペローナちゃんは照れ隠しのようなしかめっ面で「別に!」と大きい声で返事をした。


食事が終わった後、自室へと戻ろうとするとペローナちゃんもついてきたのでどうしたのかと声をかけた。


「それはこっちが聞きたい。アイツとちゃんと話せたのか?」
「あ…」


赤裸々にすべてを話すことはできなかったけれど、私は頷いて一部始終をペローナちゃんに説明することにした。とはいっても、大分婉曲な言い回しをしたので、きっとペローナちゃんからすると何がなんだかよく分からなかったかもしれないが。


「ふーん、なんだかよくわかんないままだが、まぁなぎさがスッキリしたならそれでいい」
「…ペローナちゃん、ありがとうね」


私を心配してくれていたことが分かって、それが嬉しくて、私はついつい彼女に抱き着いてお礼を言った。ふわりと甘い香りに包まれて、柔らかくて華奢なペローナちゃんにひっつくと女の子同士だというのになんだかドキドキしてしまう。


「わ、おい、急に抱き着くな」
「えへへ、ペローナちゃん大好き」


なんだか素直に気持ちを伝えることが楽しくて言葉にした瞬間、私は首根っこを誰かに捕まれて体が宙に浮くのを感じた。


「へっ」
「わ、何すんだ!」


ぽすん、と背中から落ちた先は馴染みのある体温で。
振り返ると少しだけ不機嫌そうな顔をしたミホークさんが立っていて、私を後ろからぎゅっと強く抱きしめていた。


「早速目を離した隙に浮気をするとはな」
「う、浮気?」
「相変わらず心の狭い男だな」


浮気だなんて、そんな。びっくりする私をよそに、ペローナちゃんは眉をひそめてミホークさんにそう反論した。
なんだかこの光景はデジャヴな気がする。


「ミホークさん、あの」
「なぎさは、余程おれを妬かせるのが得意らしい」
「ハァ…、イチャつくなら部屋でやれ」


呆れた顔をしたペローナちゃんはそう言って手を払うようにしてどこかへと行ってしまった。
イチャつくつもりはなかったのだが……。抱きしめられた体勢のまま、午後はまたゾロ君のところへ戻るであろうミホークさんの方を振り向いた。


「ミホークさん、ゾロ君のところに行かなくて良いんですか?」
「元々ボランティアみたいなものだ、今日くらい休んだって構わないだろう」


そう答えたミホークさんは私の頬をひと撫でしたあと、ひょいと軽々しく私の体を抱き上げた。


「え、わっ!」
「今日は、二人で過ごしたい」


耳元で熱く囁かれると何も言えなくなってしまう。スタスタと歩いて自室へと向かうミホークさんを止める理由などどこにもなく、私はぎゅっと彼の胸元を掴んでそのまま体を預けることにした。



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