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ぐっすりと寝た。温かい腕の中で、優しさに包まれて、私は目を覚ました。

「起きたか?」
「……ミ、ホーク、さん」

寝ぼけ眼を擦る。鼻先には、ミホークさんの整った顔があった。
あれ、どうしてここに。部屋に挿し込む柔らかい光があたりを照らしている。今が朝で、ここは私の部屋で……。
昨晩のやり取りをようやく思い出した私は、眠気が一気に覚めると同時に頬の温度が急上昇した。

「あ、お、おはよう、ございます…っ」
「おはよう、なぎさ」

細められた瞳が私への愛を語っていた。高鳴る鼓動。
『触ってほしくて、キスがしたくて、キスのその先を教えてほしくて』
自分の言葉を思い出して反芻する。なんて大胆なことを言ってしまったのだろうか。あんなこと、本人に伝えるつもりはなかったのに。恥ずかしさで眩暈がしそうだ。ぎゅっと目を瞑った私のおでこに、柔らかい唇が触れる。

「まだ眠いか?」
「あ、いや…」
「寝てて良い。最近、ちゃんと寝れてなかったんだろう。隈も酷いぞ」

確かに、ミホークさんとのことで悩んでいたここ最近上手く寝つけていなかった。指摘された隈も、実際ペローナちゃんやゾロ君からも言われていたことだった。

あんな恥ずかしいことを言った私のことを、ミホークさんは受け入れてくれた。『愛してる』という言葉もくれた。
嬉しくて、恥ずかしくて、思い出すと心臓がどうにかなってしまいそうだ。

「これから、毎日ここで寝ていいか?」
「え?」
「別にこの部屋じゃなくて、おれのベッドでもいいが。お前を腕に抱きながら寝たい」

びっくりして再び目を開けた私に、真剣な瞳でそう話すミホークさん。一緒に寝るなんて、そんな。
嫌なはずがない。だけどなんだか恥ずかしくて答えを躊躇っていると、腰に回った腕がぎゅうと強く私を抱き寄せた。

「おれの部屋でも、お前の部屋でも、好きな方を選べ。おれはどちらでも構わん」
「……一緒に寝るのは、決定事項なんですか?」

恐る恐る口を開くと、ミホークさんは楽しそうに笑みを浮かべた。

「当たり前だろう」

キュン、と胸が疼く。小さなベッドで体を丸めて私を抱くミホークさんのことを、愛おしく思った。
私は彼の首に腕を回してぎゅっと抱き返した。

「私のベッドじゃ狭いですから、ミホークさんのお部屋が良いです」
「おれは狭くても構わないが」
「だって、ミホークさん大きいですし、窮屈じゃないですか?」

私だって狭くても構わないけれど、普通の男の人と比べて大分大柄なミホークさんに私のことのベッドはどう考えても小さすぎる。
そう返した私に、ミホークさんは抱きしめる力をさらに強くした。

「狭い方が、こうして密着できるだろう」

耳元に落ちる低い声が心地よくて、私は思わずため息を吐いた。幸せ過ぎて罰が当たるんじゃないかな、なんて思ってしまうくらい蕩けそうな朝だった。


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