あとがき
最後はかなり駆け足になってしまいましたが、少しでも楽しんで頂けていましたら嬉しいです。ここから、この連載を書き始めたきっかけを語りたいと思います。長くなるかもしれませんが、お時間がございましたら是非お付き合い下さい。
Find the Mistake、それから灰色ラプソディと長編連載が終わりまして、次の連載はどうしようかと考えた時に、まず浮かんだのが夢主の設定でした。リメイクではタークスの面々が際立って魅力的で、もちろん無印の時から素敵なキャラばかりだったのですが、リメイクでそれがさらに顕著になっていたんじゃないかなぁと個人的に思っておりまして。そんな魅力溢れるタークスの一員として夢主を書いてみようと。そこから、クラウド落ちとなると必然的に敵対する関係にはなるので、切なさを全面に押し出したものにしてみようかと。クラウドを騙すために近付いた夢主が、クラウドやその周りの人間に惹かれていってしまって、苦悩しながら人間らしさを取り戻していくというプロットが出来上がりました。
夢主の性格についても悩んだところで、この夜明けのあいだの夢主は最初かなり無機質というか、感情という感情を長い間無くしてしまっていた可愛げに欠ける夢主だったかと思います。明るく、例えばイリーナのような性格にしてもよかったのですが、それだとタークスとクラウドの狭間で葛藤するというところがいまいち活かしきれないような気がしたのです。結局のところ活かしきれていたかと言うと、そうでもなかったかもしれませんが…。しばらくはツンツンしまくる、拗らせすぎている夢主となってしまいましたが、あまり書いたことがない夢主だったので楽しかったですし勉強にもなりました。
クラウドについては、なるべくリメイクのクラウドを忠実にと意識してはいたものの、果たしてそうだっただろうかと思ってしまいます。特にR18展開になると、攻めさせちゃうんですよね。性癖でしょうか…。リメイクのクラウドであれば、もっと終始受け身なんじゃないかとか、でも快楽には勝てなくて悶えちゃうんじゃないかとか、色々考えてはいたんですが、そこに関しては完全に私の力量不足でございます。FtMよりは受け身にできた気がするのですが、どうなんでしょうか。
また、一度memoでも書いたことがあったかと思うのですが、夜明けのあいだを書くにあたってインスピレーションを得た曲が何曲かありました。まずは米津玄師さんのOrionです。夜明けのあいだというタイトルも、その歌詞の一部から拝借しております。長編の全体を通して、Orionはとても参考にさせていただきました。本当に素敵な曲です。
2曲目は、同じく米津玄師さんのアイネクライネ。こちらも恋愛ソングとして有名ですが、切ない展開の時にはお世話になりました。"今痛いくらい幸せな思い出がいつかくるお別れを育てて歩く"というフレーズなんて大好きで、夢主の考え方の元にもなっていたりします。
3曲目はyoasobiさんの夜に駆けるという曲です。この曲の本当の意味は別として、クラウドの夢主に対する考え方にぴったりだなぁと。何度もリピートして聞きまくりました。
他にも沢山素敵な曲をBGMにさせて頂いたのですが、上記3曲には特に影響を受けたなぁと思っております。本当に素敵な曲をありがとうございました。
最後に、一時期夜明けのあいだの更新が落ちてしまっていたのですが、実を言うとスランプに陥っていたような気がします。書いては消しを繰り返し、果たしてこの展開でいいのかとか、夢小説というよりこれだと夢主の成長記録で終わってしまうんじゃないかとか、そんなことを考えていました。書き終えた今でもその部分は不安要素としてありまして、それならちゃんと納得できる状態で出せと言われればそれまでなんですが、長らくお待たせしてしまったので今の最大限で公開しようと決めた所存です。今後加筆修正は行うかもしれませんが、その際は何卒ご容赦ください。
夜明けのあいだ、またあとがきも最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。暖かいコメントにも励まされました。すべて私の大切な宝物です。これからも皆様に楽しんでいただけるよう精進してまいりますので、お付き合い頂けましたら嬉しいです。
2020.09.17 ゆきち