05
「ごめんね、皆…。びっくりさせちゃって」

セブンスヘブンに戻るなり心配そうに私の顔を伺う皆に、ちょっと気まずさを感じながら頭を下げる。いい歳してあんなにボロボロ泣いてしまうなんて、まさに不覚。

「ホントっすよ!心配したんスから〜」
「大丈夫ー?クラウドに泣かされた?クラウドやるじゃん〜!」
「あはは、違う違う。大きいゴミが目に入って、死ぬほど痛かっただけ!」

やっぱり揶揄われるよな、なんて苦笑する。本気で心配されるよりはいいけど。
カウンターの同じ席で、顔だけこちらを向いてどこか気まずそうにしているクラウドが見えて、私はまた隣の席に向かった。

「さっきは、ごめんなさい。改めて私、ナマエ。よろしくね、クラウド」
「…大丈夫なのか」
「ん?うん、もう平気!ゴミも取れたし」

カウンター席に座りながら、改めてクラウドを見る。さっきはどうしてこの人をザックスだと思ったんだろう。疑問に思う程、やっぱり見た目から雰囲気まで全く違う。人工の照明を浴びてキラキラと輝く金色の髪と、かなり整った目鼻立ち。それと、吸い込まれそうな、不思議な輝きを帯びる翠玉の瞳。この瞳だけは、ザックスと一緒だ。ソルジャーだったというのは本当らしい。

「…なんだ」
「え?ううん、その目、宝石みたいだなって」
「、はぁ?」

じっと瞳を見つめ過ぎていたのか、気まずそうにするクラウドに素直に感想を述べる。あ、照れた。こういうの耐性ないっぽいな、なんて少し可笑しくて笑う。

「でもびっくりした。ティファがこんなイケメン、連れてくるなんて」
「クラウドは、と、も、だ、ち」
「はいはい、そうでした」
「あんたは?」
「うん?」
「ティファの友人だと言っていたが、アバランチなのか」
「んーん、私は違うよ。手伝うことはあっても、正式な仲間じゃないから」
「…そうか」

でももう、神羅と関わりたくないとか、そういうことを言っているわけにもいかないかな、なんてひとり思う。さすがに今からアバランチに加わることはないにしても、一緒に行動させてもらうのが一番手っ取り早い。

「そうだ、ナマエ。悪いんだけど、クラウドのこと天望荘まで案内お願いできない?」
「天望荘?いいけど、ティファまだ離れられないの?」
「うん。後片付け、もう少しかかりそうなんだ」
「そういうことなら任せて。クラウド、もう行ける?」
「ああ」

よいしょ、と高さがある椅子から降りて、クラウドを見る。クラウドも頷いて立ち上がると、立てかけてあったバスターソードを背中に抱えた。

「じゃあ、クラウド送ったら私もそのまま帰るね。皆、おやすみ」

セブンスヘブンを出る前にまだ騒いでいる面々に一言そう声を掛けたら、返ってくるそれぞれの声。扉を開けて、先に外に出てもらうようにクラウドに首を傾げて促し、頷いて出ていくクラウドに私も続いた。
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