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「ねぇ…コルネオの話、信じる?プレートを落とすなんて、アバランチを潰すどころじゃない。ミッドガルの危機だよ…?神羅カンパニーが、そんなことする?」

結局そのモンスターは倒しきる前に、巣でもあるのかどこかへ逃げ帰ってしまった。ティファが言い出した言葉に、私はどう返すべきか悩んだ。確かにティファが言う通りで、そんなリスクがあることを敢えてする必要はない。でも多分するつもりなんだ、あいつらは。

「コルネオは、ありもしない計画で俺たちを脅したのか?」
「あいつなら、やりそう」
「でも、もし本当だったら…?万が一って、あるよね。…ね、急ごう?何も起こらなかったら、それでよし、でしょ?」

余計な口を挟まずに会話を聞く私の横で、エアリスが言った言葉にクラウドとティファは頷いた。ふとエアリスと目が合う。

「いいよね?ナマエ」
「…うん、急ごう」

どうしてエアリスが、改めて私にそう聞いたのかはわからないけれど、今は一刻も早く七番街に急いだほうが良いのは間違いない。大きく頷いて、七番街へ抜けるためこのまま下水道を進むことにした。

それからなんとか下水道、列車墓場を通り抜けてやっと辿り着いた七番街。途中、列車の中で神羅の無線を傍受した時に聞こえたのはツォンの声だった。内容からして、既にプレートを落とす作戦は始まっているようで、私たちは焦りを抱えながらここまで戻ってきた。上空にはプレートを支える支柱に向かって神羅のヘリが飛んでいくのが見える。

「ティファ…」

それを不安げに見つめるティファの手を握る。ティファ…少し、震えてる。セブンスヘブンも、家も、住んでいる人たちも。私と一緒で、ティファにとっては何にも変えられないかけがえのないものだ。それが神羅の手によって壊されようとしている。不安や焦りを感じないわけない。

「ナマエ、どうしよう…」
「大丈夫。行こ、ティファ!」

私はそのままティファの手を引いて、七番街の市街地に向けて駆け出した。途中、私たちの行く手を阻むようにもう何度も見た黒い影が立ちはだかったけれど、それを越えてやっとの思いで市街地へと入る。支柱の丁度真下まで来ると、上から銃声やバレットの声がここまで聞こえてきて、かなり切羽詰った状況なのが見て取れた。その瞬間、支柱の中腹あたりで大きい爆発が起こり、その衝撃で手すりが破壊され人影のようなものが宙に投げ出された。

「──っウェッジ!!」

それは、私たちがよく知るアバランチのメンバー、ウェッジだった。ワイヤーを支柱に向かって伸ばしたウェッジに、ほっと息をついたのも束の間、重さに耐えられなかったワイヤーが切れ、ウェッジの身体は地面に叩きつけられた。クラウドが慌てて傍に駆け寄る。

「大丈夫か!」
「クラウドさん……」

痛みから苦しそうな声を絞り出すウェッジに、胸が締め付けられるのと同時に、頭に血が上る。神羅は、人の命をなんだと思ってるの。この瞬間も上では死闘が繰り広げられている。もしプレートを本当に落としたら?何人が死ぬと思ってるの?握りしめた拳が、怒りで震える。気付いたら私は、支柱に向かって走り出していた。

「ナマエ!?待って!」
「っナマエ!勝手に行くな!」

後ろでティファやクラウドが焦ったように私の名前を叫んでいるのが聞こえても、足を止めることはできなかった。早く、早く神羅を止めなければ。階段を駆け上がって、息が切れるのも余所にとにかく上を目指す。途中、既に事切れているアバランチの人たちを見る度に焦りと怒りで平常心を失う。
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