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「あー、楽しかった」
「…はぁ、おまえは無茶しすぎだ」
「でもナマエのおかげで、助かったよ」

エアリス優しい、なんてエアリスの腕に泣きつく真似をしてたら、クラウドが冷めた目で見てたけど。そんな茶番をしながらゲートキーパーに言われたとおり、手揉み屋に戻ってきた。

「来たね。お召し替えの準備は整ってるよ」
「ありがとう、マムさん」
「おねがいしまーす」
「さっそく取りかかるよ。女の支度は、男が思うほど楽じゃないんだ」

マムは一体どこまで着飾る気なんだろ。しばらくかかると知って怪訝な顔をしたクラウドに苦笑をする。確かに男の人にとっては、ただ待つだけって苦痛だよね。

「そうだね、その間あんたは……。女連れじゃ、できないこともあんだろ?今のうちに遊んで来たらどうだい?思ったよりこの街に馴染んでるようだし」
「勝手に話を進めるな」
「煮え切らない男だねぇ…。せっかくの機会さ、その腑抜けた男っぷりもついでに叩き直してきな!」
「っあはは、腑抜けたって…」
「おい、何か言ったか」
「いえなにも」

マムの言葉に思わず吹き出したら、鋭い眼光が飛んできたから口を噤む。でも私も最初は腑抜けてると思ってたんだけどなぁ。たまに、ほんとに同じ人なのかなって思うくらい、男の人になるんだよね…。なんて色々と思い出して、顔に熱が集まってきたから慌てて頭を振った。

「さてと、ナマエ、エアリス。ついてきな」
「どんな服かなぁ、楽しみ」
「うん、そだね」
「服だけじゃないさ。その素人くさい化粧と髪もがっつり手を入れるからね」
「わお!」
「素人くさい…?それじゃ、クラウドあとでね。…いーっぱい、遊んできていいから」
「興味ない」

いつも通りの口癖で返されて、笑ってしまう。一旦そこでクラウドとは別れて、怒られないうちにマムとエアリスを追った。


「わ!エアリス、かわいい!綺麗!」

先にエアリスから、とのことだったから隣の部屋で終わりを待ってた私に、マムが呼びに来て戻ったら。目の前には真紅のロングドレスに身を包んだエアリスの姿。びっくりした、お化粧のせいもあってか、ほんとに別人みたいに綺麗すぎて。元が美人だから当たり前と言えば当たり前なのかもしれないけど。

「えへへ…ちょっと、恥ずかしいかも」
「自信もって、エアリス!恋しちゃうかと思ったもん!」
「っふふ、それは言い過ぎ」
「ほら、見蕩れてないで。次はあんたの番だよ。エアリスは隣の部屋で待ってな」
「はぁい。ナマエ、楽しみにしてるからね」
「…エアリスの後、やだなぁ。ハードル上がっちゃった…」

もろに期待してるって顔で部屋を出ていったエアリスに小さく溜息をつく。マムの腕を信用してないわけじゃないけどそもそも素材が違いすぎる気が。…哀しくなってきた。

「着替えが先だよ、早くこれを着な」
「───え。」
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