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少しの間そうしてクラウドと寄り添って、はぐれてしまったみんなと合流するために歩き出した。気を使って離れたところにいたレッドには小さく溜息をつかれて、気まずかったけれど。
それから、バレット、仕切りの向こうにいたティファやエアリスと無事合流ができて、襲ってくる宝条のモンスターを倒しながら、私たちは改めて屋上へと向かうために元いた場所へと急いでいた。何故か塞がっている私の傷のことは、レッドがそうしたようにフィーラーが助けてくれたとごまかして。仕方がないこととは言え、やっぱり心が傷んだ。

「よかった、戻ってこれたね」
「うん、屋上まで急がなきゃ」

ティファの声にそう答えてエレベーターから降りる。そこは、セフィロスに落とされる前、ジェノバが保存されていた空間、だったはずなのに…。

「おい、どういうことだ、こりゃ」
「ジェノバが…」

容器は派手に破壊され、ジェノバが忽然と消えていた光景に息を呑む。ふと足元を見て、黒い血のようなものが通路のずっと先まで続いていることに気が付いた。この先は、ビル上階へ登るエレベーターだ。ああ、やっぱり同じところに向かってるってことね…。

「上に行くぞ」

クラウドの声に全員が頷いて、気持ち悪い血痕が続くエレベーターへと、私たちは乗り込んだ──。

社長室までびっしりと続く血痕。それを辿るように社長室へ入ったけれど、そこにはプレジデント神羅の姿はなかった。

「野郎、どこ行きやがった!」
「待て、なにか聞こえる」
「…ん?外のほう、だね」

レッドの言葉に、周囲に耳を澄ませると微かに外から聞こえる小さな声。助けを呼ぶものに聞こえた気がして、私たちは屋外へと駆け出した。

「──!」

目に付いたのは、縁に両手でしがみつき今にも下へ落ちそうなプレジデント神羅の姿。

「た、助けてくれ」
「はっ、こりゃ愉快な状況だ」
「頼む…手が限界だ。謝礼なら、いくらでも」

みっともなく命乞いをするプレジデントに、バレットは鼻で笑って手摺りを乗り越えた。その時、手が縁から離れたプレジデントをバレットが掴んだ。左腕の腕力だけで引き上げて、まだ泣き言を連ねるプレジデントを睨み付けた。

「助けてくれ…。望みを叶えてやろう」
「俺の望みはささやかでよ。お前が死ねば9割がた実現したも同然」
「残りの1割の話を……っうぐ!」

話を最後まで聞くこともなく、バレットは掴んでいた腕を離して落ちるプレジデントのスーツの首元を掴んだ。首が締まってプレジデントが呻き声をあげる。

「バレット!だめ、やめて!」
「……ちっ」

咄嗟に引き止めた私に、小さく舌打ちをしてプレジデントの身体を手摺りの内側に投げ飛ばした。それにほっと一息つく。神羅が憎いのはみんな一緒だ。でも、そんな奴のためにバレットが手を汚す必要すらない。
咳き込みながらフラフラと立ち上がったプレジデントに、バレットは銃を突き付けながらアバランチの名誉回復と神羅の降伏を要求した。後ずさるように逃げるプレジデントを追って、室内へ戻ったところで、プレジデントの様子が急変した。

「…甘いのだよ、君たちは」

慌てて後を追った私たちが見たものは、銃口をバレットに向けるプレジデントの姿だった。詭弁を口にしながら形勢逆転となったバレットを追い詰めた時、突然、本当に突然霧のように現れたセフィロスの長刀がプレジデントの身体を貫いた。引き抜かれた刀と同時に倒れ込んだプレジデントに息を呑んだのも束の間、バレットがセフィロスに向かって銃を構えた。だめ、敵わない───。

「っバレット!!」

まったく同じように、バレットの身体を貫いた長刀が見えた瞬間、弾かれるように私は走り出した。同時にフィーラーがバレットの身体に集まってくる。嫌だ、どうして、どうして!こんなのおかしい、私はもう誰も失いたくない───!
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