京極堂 | ナノ


▼ 暖炉の中

外から吹く風の音に聴覚的な寒さが増す。

京極堂宅には、むさっくるしい程に男ばかりが炬燵を囲んでいた。
何気なく来なけりゃ良かった。
僕はハァと溜め息を吐いた

「すみません」

玄関先から声がした。

透き通った綺麗な声。

この家の主人が上がっといでとよく通る声で答えた。
次いで、控え目な足音が聞こえる。

「むう!」

「榎さん、急になんだい」

さっきまで寝ていた探偵は足音を聞くと急に顔を上げて妙な声を上げた。

舌打ちしたい衝動に駆られる。ちぃっ!

「名前だ!京極!名前が来る!」

何て嬉しそうな顔をしているんだこの若作りしたおっさんは。

そんな視線を向けると、小さく襖が開いた。

「中禅寺さんと……あれ?皆さん」

「名前君寒かったろう。」

ええと答えた女学生――名前は、ぐるぐると首に巻き付けていたマフラーを部屋に入りながら解いた。

顔が赤くなっている。

「でも、今日中に本を返そうと思って。」

学生鞄から洋書を取り出して有り難う御座いましたとはにかんだ。

「どうだった名前君。興味深い事柄は書いてあったかい」

「はい。精神の自由を説いた一文がとても。」

ああ、あれには僕も感銘を受けたよ。

やっぱり中禅寺さんに聴いて良かった。


……なんか、甘い雰囲気が

「名前!」

耐えきれなくなったらしい探偵は大声で名前を叫ぶと立ち上がって彼女の手を引いた

「うわ、わ!バランスが!」

「倒れても抱き留めてあげるから安心して倒れなさい!」

実際に倒れた彼女はふわりと榎木津探偵に抱き留められる。

「うわあああ!」

「わはは!暴れない暴れない。」

暴れるを通りこしてるように見える程拒絶されてる。

助けようと腰を浮かせた瞬間ゴンと鈍い音が鳴った。

「何をする箱型人間!」

「お前がふざけ過ぎるからだ馬鹿ッ」

反論している間に少女は探偵から逃れ、古本屋に保護される

「あ、有り難う御座います木場さん」

「いや……」

「照れるな!豆腐!」

また鈍い音がして、二人して表へ出て行った。
何て騒がしい奴らだ。

「出て行ったね」

陰気な声で小説家は言った。

「大分炬燵も空きましたね。」

「そうだね。所で京極堂」

いつまで抱き締めて居る気だい?

小説家はいつもよりか張りのある声で言った。

「わあ!ごめんなさい!」

「いいよ。寧ろこのままの方が……」

「セクハラだ」

「うっさい関口」

こいつ等もか!
そんな視線で二人を見つめた。

「益田さん、益田さん」

紛争から逃れた少女は綺麗に結んでいた髪が大分と解れていた。

あーあと呑気な声を出しながら横に招き入れた。

「温かい。」

目を細めて笑う顔に胸がきゅんとした。

「髪が解れてる」

「あ」

髪留めを外して手櫛でとけとさらさらと細い髪が指に通る。

「ああ……」

「え?」

「あああああ!」

「う、わ……」


みんなの視線が痛い





逆ハーレムを書けるようになりたいのです。



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