▼ 息抜き
「さあ行け、益田!」
「嫌ですよ!」
「行け益田さん」
「名前ちゃんまでッ……!」
悪いのはあなた達なのにどうして僕が!?
益田だからだ。
益田さんだからですよ。
うあああ!
叫んだ後に、涙目になりつつ手の中にある本を見る。
破れた和綴じの本。
紛れもなく京極堂の主人、中禅寺秋彦の物だ。
破った本人はさっきから行け行けと騒いでる榎木津探偵と探偵のお気に入り名前ちゃんがしたことで、もう僕には一切関係ないじゃん。
「と、兎に角!僕ァ知りませんからね!」
「逃げるのか」
うっ!
その精悍な顔付きは苦手です
「見損ないましたよ。益田さん」
目つきが違うよ名前ちゃん。
それでも、それでも僕は……!
「行かない!」
「逝って来い」
「逝ってらっしゃい」
「ちょっとぉぉぉお!」
息抜き
(益田くん……)
中禅寺さんの顔がまるで死神のようだッ……!
息抜きに益田さんは丁度良い。
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