京極堂 | ナノ


▼ よこれんぼ

「罪な人だね」

ゾッとする程冷たい顔で、中禅寺さんは加虐的に言う

「なら私を組み敷いている貴方はどうなの?」

「同じ罪だろうね。」

惑わせた君が悪いと彼は幽かに笑う。

「まあ、乗る僕も僕だが――」

誘う君もどうかと思う。

そう呟いて細く綺麗な手で私の輪郭を撫でる。

「好き」
「戯れだ」
「愛してる」
「恩着せがましい」

目を細めると髪を撫でた。

「貴方には百年の恋の気持ちが伝わらないでしょうね。」
「なら、君には解るのかい?」

悪戯っぽく笑う顔にときめく

「叶わぬと知る恋なら、解ります」

「叶わぬと知る恋?」

態とらしく首を傾げる。

「叶わない事など君にあるだろうか」

「たくさん。」

あります。

「伝えたくても、伝わらない」

「それは大変だ」

ブラウスのボタンが一つ外された。

「横恋慕だと、解っています。」
「我が儘だとも分かっています。」

貴方に迷惑はかけたくない。だからこの気持ちを言わない。なんて、なんだかアンフェアじゃないか。

「ただ、貴方が」

続きを言おうと開いた口に、唇が重なった。



よこれんぼ


背徳心、いろいろ




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