短編 | ナノ

(鬼灯の冷徹)
(会話文中心)
(下品)

「久し振りだね名前ちゃん。どうしたの、普段は何があってもウチに来ようともしないのに」

「実は今朝方から頭は痛いし吐き気はするし」

「風邪?大変だね。トイレならあっちだよ」

「それで薬を……え、今なんて言いました」

「トイレならあっちだよ」

「白澤さま、私には冷たくないですか」

「そんなことないよ。吐きそうなんでしょ?」

「ええまあ。そりゃあ」

「早く楽になりたいでしょ。いってらっしゃい。」

「そんな笑顔で手を振られても!そりゃ辛いですけど」

「みぞおち刺激してあげようか?」

「ど、どうしてそんなに嘔吐を勧めるのですか!まさかそんな趣味が?」

「なきにもあらず。」

「もうやだこの好色!」

「なんとでもお言いよ。」

「ひどいっ女誑しのくせに」

「そりゃ僕だって綺麗な、可愛らしい子なら世話の一つや二つ、いやいや幾らだってしてあげるけどさ」

「うわっ今までで一番ひどいっ」

「酷くないよ。……今さらだけど名前ちゃん真っ青だよ大丈夫?」

「うええ、思い出したら気分悪くなってきた」

「もうちょっとだね!」

「なにが?!」

「別に。とにかくさ、さっさと出してスッキリして寝なよ」

「そう言われても」

「うーん。あっ、ならいっそ油っこいもの食べる?」

「だからどうしてそう……」

「焼き肉に始まり回鍋肉で締める」

「うええ、肉ばっかり…」

「焼きそばとかも結構キツイよね」

「うええ、白澤さまトイレ貸してください」

「どうぞ」

*

「ほら、出すもの出したらスッキリしたでしょ。まだ真っ青だけど」

「うがいしたのにまだ喉が痛い」

「胃液だね。ハイお薬」

「今さら感が否めない」

「そう言わずに。ハイぬるま湯」

「白澤さまお優しいー。いただきます」

「そうだよ、僕って優しいの。あっ、一気に飲んでね」

「……うげえ、頂いといて絶対に言ってはいけないけど不味っ」

「良薬は口に苦しだっけ?あれ」

「まあ、効きそうではありますよね。あーおいしくない」

「文句ばっかりだなあ。だから名前ちゃんモテないんだよ」

「うるっさいですよ、わかっとるがなそんなこと。はあ。あっなんか急に眠くなってきました。」

「気が抜けたんだろうね」

「ええ、お家に帰って安静にしようと思います。ありがとうございました。」

「えっ帰るの?良いよウチで寝ててくれても」

「えっどうしたんです急に」

「心配だし」

「急にデレた!」

「女の子一人帰すわけにもいかないしね。」

「急にデレた!うげえ、また気分悪くなってきた」

「薬飲んだんだから吐いちゃダメだよ」

「白澤さまの優しさで私の胃がヤバイ」

「失礼だね名前ちゃん。そんなんだからモテないんだよ」

「またこの人は……」

「とにかくほら横になりなよ」

「はあ……」

「どうしたの」

「横にって、どこで」

「床」

「……とこ?」

「ううん。ゆか。あっ、地面って言った方が良い?」

「白澤さま、一発だけ!一発だけ鳩尾に!」

「嫌だよ!どうして親切にしてるのに」

「親切っていうか……邪険にしてますよね」

「ええー。だって僕の床は嫌でしょどうせ」

「ええ。なんか……不潔」

「いや、名前ちゃんあのさ、まあいいや。桃タローくんのところも使えないし」

「椅子とかないんですか」

「病人を椅子で寝かすのはなあ」

「地面で寝かそうとしたくせに……」

「うーん、一人で帰すのもなあ。病気してるときに一人って嫌だろうし」

「ええ、まあ……あの、白澤さま」

「うーん。うん?」

「その、もし白澤さまさえ良ければ、白澤さまのお布団をお貸し願えますか」

「えっどうしたの不潔じゃないの?」

「いやよく考えたら意見できる立場じゃないし。なによりそこまで考えて下さっているとは思っていなかったものですから、その」

「うわっ急にデレた!」

「病身の私には白澤さまのお優しさが染み入るようでして」

「急にデレないでよ!ビックリした!」

「……はあ、そんなに珍しいですか」

「かなり。えっ本当に良いの?なんなら桃タローくんに頼もうか?」

「桃太郎さんのお手を煩わせるわけには」

「桃タローくんには優しいんだね名前ちゃん!」

「そんなことないですよ。私、万人に等しく優しいですから」

「胡散臭いなあ。まあ、それはおいといて。本当に良いの?あとで慰謝料とか言わない?」

「一体どんなイメージを持たれてるんだろうか私。先ほども申した通り、白澤さまさえ良ければ是非にお貸し願いたいです」

「そっか、うん。僕は良いよ全然良いよ」

「ありがとうございます。ひと休みさせて頂きます」

「ひと休みと言わずに泊まっていきなよ」

「はあ。……はあ?」

「えっ何その目。言っておくけど下心なんてないからね。名前ちゃんには何の欲も湧かないし」

「そ、それはそれで酷い」

「そう?まあ今日はウチでゆっくりお休み」

「はい、お言葉に甘えて。して、白澤さまはどちらで休まれるので」

「そこの長椅子」

「ええっ、いやその」

「今度は何?」

「伝説の神獣を長椅子で寝かすのはさすがにゴニョゴニョ」

「なら一緒に寝る?」

「不潔!不純!助平!女誑し!」

「はいはい、分かってますよ。というわけで僕は長椅子使うから、遠慮なく眠ってくれて構わないよ」

「ううっ……健康になったらお返し致します」

「そうしてそうして。お返しはアレで良いよ」

「アレ?」

「名前ちゃんのお友達を紹介してくれるのでチャラにしてあげる」

「ふっ不潔!」

「なんとでも」


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