短編 | ナノ
(現代)
(ゆる百合)




「置いてけ堀ですね。」


鶴ちゃんの言葉に膝を抱えた。
真っ暗な私の部屋に彼女が来たのはもう二時間も前だった。何故そうしたのか、私は彼女に思わず電話越しに泣きついてしまったのだ。


「棄てられた」
「元々、悪い人だった、」
「うん、」
「私は反対しました」
「うん、」
「名前ちゃん」
「うん?」
「…ううん」


電話の後、すぐ駆け付けてくれた彼女に私は思わず泣きついてしまった。二時間は、彼女は私の話しを黙って聞いてくれていたのだ。
やっと心に余裕が生まれた今は、なんて悪いことをしたのかと後悔しているが。


「鶴ちゃん、ごめんね」
「なんで?」
「突然呼び出したりして」
「私は気にしてませんよ。それより、ねえ、名前ちゃん」
「ん?」
「わたし」


鶴ちゃんが全て言い切る前に私の携帯電話が鳴った。ゆっくりディスプレイを見ればメールが受信されていて、妙に胸を高鳴らせながら開いた。


「あ、」
「名前ちゃん?」
「あ、私、あのね鶴ちゃん」
「うん、うん。」
「あのね、彼がごめんなさいって」
「うん、」
「あのね、」
「良かったね」
「うん」


目をぱちぱちさせて携帯電話を閉じた。
家を飛び出そうとする私の耳にふと、おいてけぼりと聞こえた気がした。







当初は鶴姫に罵倒される夢でした。
回避したら百合っぽくなりましたふしぎー
 



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