短編 | ナノ
(某ゲームパロディ)
(先に謝っておきますごめんなさい)







夢から目覚める瞬間が、私には一番辛い。瞼を開く。天井を見る。ああ、なんだいつもの通りかと溜め息を吐いた。


「おはよう。」


寝室からダイニングへと行けば、名前がテーブルの上に食事を並べているところだった。

「おはよう」

返事をしながら白のワンピースを見る。この世界に、この目には酷く眩しい色だ。


「今朝はね、三成の好きなものにしてみたの」
「うん」
「…薄かったりしたら言ってね」
「いや、大丈夫だ」
「良かった」


ほっとしたように肩を下げてから笑った名前につられて笑んだ。
正直な話、私の舌ではほとんどのものを美味と感じられなくなっている。元々食は細かったが、最近それに拍車がかかった。


「ねえ、三成」


私の前に腰掛けた名前は、ゆっくりとまばたきをしながら言う。


「私のこと、好いてくれる?」
「何を言う」
「うん、」


両肘をついて何事か考える姿勢をとった名前を見て、何故かぼんやりと嫌なことを考えた。


「私は貴様を好いている、信じている、この世界で一番美しいものを」


「そう」とまたゆっくりとまばたきしたあとで、今度は独り言のように呟いた。


「あのね、三成。一人だけ、この世でたった一人だけにでも必要とされたのなら、きっと私は立っていられるの。それはあなたなのよ」
「うん」
「私にとって、尊いあなたなの」
「名前」
「なあに」
「私にとって、それは貴様だ」


食器を見詰めながら言えば、名前はそうと弾む声で答えた。


「私、あなたにね、贈りたいものがあるのよ」
「贈りたいもの?」
「奇麗な、あなたが望む世界。」



 



[prev|next]
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -