星の時計台 | ナノ
LOVE PHANTOM〜それが恋と気づかずに〜4


それから二週間程して、双子の元へ吉報と共にあまり良くない知らせが届いた。
それは先日、二人が受けたオーディションの合格通知と美奈子の再入院の知らせ。

彼女の容態はあまり良くなく、来月に開催される春・夏コレクションのステージまでに回復の見込みはないかも知れない、と言うことだった。

所属事務所内にあるカフェに足を運んでいた葵は、注文した珈琲を口に含み深いため息を漏らした。




「ったく、何しんみりしてんだよ……。そんなに心配なら、美奈ちゃんのお見舞いに行ってやればいいだろ?
来月のステージ、歩けるよって……葵の口から伝えてやれば喜ぶと思うけどなぁ」

ぼんやりと俯いていた葵の耳に聞き慣れた少年の声が届く。
ハッと我に返りすぐ横を見上げると、そこには小さく肩を竦め少々呆れた様子の雅明が立っていた。


「……雅明? 学校じゃなかったのか。こんな時間に事務所にいるなんて……」

葵は驚いて目を見張る。

「早退してきた。今日、お前ら学校に来てなかったろ?
……豊にメールもらってさ、オーディション受かったって……後、美奈ちゃんのことも聞いたから」


「……そう、」

ふっと再び小さなため息をつき手元のコーヒーカップに視線を落とす。

雅明はそんな葵の頼りない様子を見てやれやれとまた肩を竦め、後頭部をガシガシとかいていた。

だが次の瞬間、ガッツリと葵の左腕を掴み



「ほら! 行くぞ、病院。俺もついてってやるからさ」

そう言って強引に椅子から立ち上がらせる。

その後、二人は美奈子が入院していると言う帝都中央病院に向かったのだった。

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