月の回廊 | ナノ

箱庭の天使2

歳の頃は自分と変わらない、まだあどけなさが抜けない表情で少年は礼儀正しく挨拶をした。
風色の髪と透き通った白い肌を合わせ持ち、珍しい黄金(きん)色の瞳がとても印象的な少年だった。
少女は挨拶をする事も忘れて、少年の優しい笑顔に一瞬で心を奪われてしまっていた。


「アナスティア、どうしたんだい? さぁ、挨拶を」

肩にポンッと置かれた手に、アナスティアと呼ばれた少女はハッと我に返った。ふと見上げれば、自分の隣で穏やかな微笑みをたたえた金髪碧眼の少年が彼女を見ていた。

「あッ! ご、ごめんなさいお兄様。えっと……あの……」

あたふたと赤面しながら言葉に詰まっていると、目の前に立っている風色の髪をした少年が少し困った様子でハニカミながら笑い、アナスティアに対してもう一度深く頭を下げて

「お初にお目にかかります、アナスティア王女。セオール=アークエイルと申します」

と、丁寧な口調で自己紹介をしてきた。
少女はどぎまぎしながら衣服を整えドレスの裾を両手でつまみあげると、ぎこちなくも軽くお辞儀をし

「アナスティア=リン=ミスティです。どうぞ、よろしく」

そう返事を返す。


顔を上げると目の前に立つ少年――セオールは、くすくすと笑いながら少女の様子を見ていた。


(わっ! 何てきれいな笑顔。天使みたい……)

セオールの背中に純白の羽があるように見えて、屈託のない彼の笑顔にアナスティアの心臓の音はさらに高まるばかりだった。


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