各キャラを作り上げる土台となった個人エピソードの話(8/5※一部内容追加)

不気味なほど静まり返った満月の夜――。

まだ肌には冷たい夜風が宮廷の中庭に吹き抜ける。ざわりざわりと耳に煩くこだまするノイズのように、風にさらされた木々の葉が揺れていた。


カタン。


少年は寝室の窓を開け放ちそこから続くバルコニーへと出ていくと、白い手摺りに両手をかけて満天の星が広がる夜空を仰いだ。

暗い夜の闇にも映える見事な金色の長い髪を風になびかせ、星空を見つめる瞳の色は穏やかな春の陽気を思わせる優しい碧色。
夜空に浮かぶ大きな満月の光は、元々美しい少年の白い肌をいっそう際立たせ、艶めかしく魅せていた。



「――‥嫌な風だな。こんなに風の音が耳につく夜は……随分と久しぶりのような気がする」

少年は小さなため息を一つ漏らし、ぽそりとそう呟いた。





***


月の雫・番外編T
〜放浪の聖騎士〜





※因みにこの話、実は描きかけの漫画もあったりします。←

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2014/07/28 16:39

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