青年Bの供述



「あいつが悪いんですよ、俺はあいつにあんなに尽くしてやったのにそれを拒絶するようなことで俺を傷つけた。俺たちお互いに好き合って付き合っていたのに。信じられますか、刑事さん。
その経緯ですか?確か金曜日…十七日だったかな…、俺は彼女のバイト先まで歩いて迎えに行きました。ええ、そうです、ひどい雨が降ってたでしょう。A子は雨の日の運転は危なっかしいので帰りは俺が運転してやろうと思ったんですよ。バイトが終わる時間になったので店の中に入って彼女に会いました。
その時の会話?…ひどい雨だから迎えに来たよ、という俺の言葉に対して『近寄らないで』だったと思います。彼氏に向かってこの言い方はないですよねえ。それに不必要に怖がっている様子でした。せっかく親切心で迎えに来てあげた俺に対して失礼極まりない。人間性が欠落しているとしか思えない。まあ、あの場には彼女のバイト仲間がいたので照れ隠しなのかな、とも思ったんですが。
…ええ、A子はものすごく照れ屋だったんです。俺が電話をかけてもすぐに切ったりとか、メールも返さなかったり。まああいつが俺を愛してるってことはわかってたんで寛容に目を瞑っていたんですがね。それにしたって今回はあんまりだ。俺はA子の言葉でひどく傷つけられたし、恥をかかせられた。あいつの言動であの場の人間には俺が彼氏じゃなくてストーカーに見えたかもしれません。彼氏としてこれほど不名誉なことはない。
人数ですか?そうですね、六、七人くらいだったと思います。彼女のバイト先の…客も含めて…ええと女が四人と男が七人…だったかな?たぶんそれくらいです。
その後はですか…正直に言ってよく覚えてないです。俺は頭にかっと血が上ってA子を殴った…と思います。キョウキ?ああ、凶器ですか。傘です。手に持っていた傘であいつを殴りました。頭だったかな?で、あいつは倒れました。近くにいた人が騒いでいたような気がします。
まあ俺としてはちょっとした躾のような感覚だったんですよ。普段、愛想の悪い彼女に俺はこれだけ愛を注いでいるのに、あいつは恩を仇で返すような仕打ちを俺にしたわけです。以前から教育が必要だな、と感じていたのでちょうどよかったと思います」



青年Cの矛盾

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