りんりんと涼やかな音が響いている。ガラスとガラスが軽くぶつかって奏でるそのメロディはどこまでも透き通っていて美しい。

金魚鉢を模したその風鈴は、下に向かって鮮やかな青から彩度の低い透明感のある白へと色彩を変化させている。その中で赤い金魚は優雅に泳ぎ、水草はゆらゆらと体を揺らしている。

風が吹いて、またりんりんと鳴る。彼らは私を、吹く風が火照った身体の熱を優しく取り去っているように感じさせる。風がふわりと頬を撫でて、その感触に私は目を細めた。

しばらく縁側で涼んでいると、柔らかな風に乗って仄かに甘い爽やかな香りが私の鼻孔をくすぐった。

香りのする方へ導かれるように振り向くとそこには三角に切られた西瓜が行儀良く並んでいる。皮の緑とヘタの白とのグラデーション、赤く熟れた実とまばらに散らばる黒く小さな種との対比が美しい。

一口、口に運ぶとシャリ、という歯切れの良い音がして、次の瞬間瑞々しい甘さが口の中で広がった。それはとても控えめな性格で、もっとよく味わおうと舌を伸ばずと霧に身を隠すかのように消えてしまった。私はシャクリ、とまた一口彼女との逢瀬を楽しむ。

西瓜を一切れ食べ終えた頃、風鈴の音が止まった。縁側に吊されたそれに目をやると、夕焼けで真っ赤に染まっていた庭が薄暗い灰色に変化している。

鼻を利かせると庭から土が湿った夕立独特の匂いが立ち籠めていることに気付く。ぽつ、と庭の植木の葉に雨粒が落ちる音がする。その一粒を皮切りに次々と天から雫が降り注ぐ。むせかえるような夕立の匂いは静かに雨粒に流されていく。ぽつぽつという音が連なって濁音混じりの色に変化した。

新しい西瓜を囓って夕立を眺めながら、ああ夏が終わるんだなあ、とそんな物寂しさに浸る。





















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