ごうごうと凍てつく風が吹き乱れる真っ暗で恐ろしく大きな四角い部屋に僕はいた。僕の他にもたくさんの仲間がその部屋で行儀よく陳列している。異様なほどに大人しいルームメート達と低い天井。それが僕から見えるすべてだった。

僕は一体何なんだ?どうしてこんな場所に閉じこめられているんだ?生まれたときからこの部屋を出たことがない僕は自分の存在意義について考える。しかしいくら考えても答えは出ない。問いかけても答えてくれる人はいない。教えてくれ、僕は何の為に生まれてきたんだ?

たまに部屋ごと移動させられては眩い外の光が僕らを包んで、人間が仲間を数人連れ去る“選抜”が行われる。

ああ、外の世界はなんて明るく暖かいのだろう。外に出たい。自分が何者であるか知るには、外に出るしか方法がないように思われた。そのためにはなんとしても“選抜”で選ばれなくては。

暗い部屋で僕はじりじりと息を潜め時が満ちるのを待つ。ゴゴゴゴという巨大な地震と共に部屋が移動する。“選抜”だ!

人間が連れて行く仲間を選ぶ。ひょいと体を捕まれては得体の知れない液体に放り込まれていく。放り込まれた仲間は液体に体を溶かされている。

おいおいおい、ちょっと待て。あんな気味の悪い液体で融かされるのか!?僕は自分が何者であるか知るんだ!まだ死にたくない!

渾身の力で身をよじり人間の手から抜け出す。カツンと硬い音がして僕は地面に落下した。やった、外の世界だ!

喜んだのも束の間、僕は自らの体の変化に気付く。体が、熱い…?外の世界は僕にとって暑すぎるらしい。信じられないスピードで自らが液体化していくのがわかる。

待って、僕は、ぼくは、なにものなの、おしえて、ダレカ、






「あ、落としちゃった」
「まあ、いいじゃない。ただの氷でしょ。すぐに溶けてなくなるよ」


















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