42//レンタルセンチメンタル
ぷちり。
ぷちり。
「何、…してるんですか」
何とも間延びした数え方で、緑の葉を毟っている人間が一人。
通り過ぎた方が良かったかと、既に少々後悔を感じているレイでもある。
「花占いだよ。一まーい二まーい…ってね」
「……数え方、間違ってませんか。…それに、花って…」
「葉に見える?これでもれっきとした花の一種だよ」
見た目は藤の花に似ている。
色がただ、黄色に近い黄緑色。
見たことはないが、この人が花というのなら花なのだろう。
じっと見ていたら、興味を持ってくれた?と柔らかく笑った。何という花ですかと聞いた。
「きんぐさり」
黄色というか葉みたいな花というか、珍しい花だねと続いた。
「そんな花の花弁を数えて何を…」
「見たことない?好き、嫌い…って花弁をちぎっていく花占い」
「知りません。花には可哀想なことですね」
「レイは優しいな」
「………」
「じゃあ一つ、花占いをしてあげようか」
いえ別にと続けようとしたが軽く無視された。
「きんぐさりに思うこと。知的なセンスを持ち、クールで行動的、理知的な人です。見た目よりも甘えたがりやです。自分を本当に理解してくれる人を求める愛の放浪者と言えるでしょう。ところが、隙がないだけに、相手は一歩踏み込むことが出来ないのです。もっと本音を出しましょう」
「………」
「花言葉は淋しい美しさ。復活祭にも飾られる黄金の花。けれど名前は金の鎖」