目映い陽射しの舞台から、アンコールに応えた歌姫が花を受け取り微笑み掛ける。

ただ一人の為の青空の下のステージ。





そんな光の喝采の風景を、二人は遠くから見詰めていた。

「やっぱりラクスは綺麗だなぁ…」

…まぁ、否定はしないが。
うっとりと見惚れる親友の横で、アスランもかつての婚約者を眺めた。
幼さを抜け出しながらも、大人にはあとも少しという姿で、癒しと呼ばれる声を響かせ彼女は謳う。

春の名前に似合う容姿と微笑みと優しさを持った歌姫。今日という日に最も相応しい。

キラがぽつ、と呟いた。

「僕達の間に立ってくれたのがラクスだったって思うとさ、何だか縁は繋がってるよね」
「ん?」

ラクスを見ていた視線から一転、眩しく遠くを見る目になっては。


「桜色の景色が、いつも僕達にはあったような気がする」


出逢いも。別れも。

幸せの色と言えば、淡い桜色。


「お前には、桜が似合うからな」
「どういうこと?」
「ほわほわしてる感じが一緒」
「………」

ああ、その辺りはラクスと似ているかもな。
アスランは笑う。
優しいそれは、そのままキラへと向けられた。


「あんなに大きくて忘れられない花、他にはないだろう?」


澄んだ青空に腕を広げて微笑う花。

どんな時にも、幸福を届けてくれる色だ。


「アスランは、桜の花は好き?」
「ああ」
「なら、いいや」


桜を楽しむにはまだほんの少し早くて、でも桜色で飾られる今日という日を。

…―――今年も、君ともう一度。





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