08 / 苦し紛れに嘘をつく



「あー♪ ん〜♪♪ なー♪」
「おかしな奇声を出すな。というか最後が最も意味不明だ」
「うわっ。アスラン聞いてたの」
「お前の口にサイレンサーが付いてないのならな…」
「声掛けてよ」
「声掛けただろ」
「………」
「………」
「………」
「キラ。お前は嘘をつくのが上手い。自他どちらに対しても」
「褒められてる?」
「というか、感情のコントロールが上手い」
「そりゃ立場上ね」
「でも下手な嘘が一つだけある」
「へぇ」
「さっきの奇声の理由は?」
「会話のキャッチボールをしようよアスラン。そして普通キャッチボールは直球です。変化球はプロじゃないと取れません」
「お前はプロだろ」
「何の」
「俺の」
「自意識過剰」
「理由」
「………」
「………」
「で、何が言いたいの」
「お前が一つだけ下手な嘘が、さっきの奇声の理由だと思ったんだ」
「下手下手云われると何かムカつくなぁ…。まぁいいや。……実は仕事量が減って」
「嘘だ」
「………」
「………」
「何で」
「下手だから」
「………」
「………」
「むー」
「お前が俺のプロであるように、俺もお前のプロなんだ」
「まーいいけどね」
「……で?」
「実はさ」



「イザークが笑ってくれた」

「ディアッカがカッコ良くリーダーしてた」

「ニコルがピアノの練習よりも僕との約束を優先してくれた」



ここの処、運がイイのかな。



「せっかく僕だけの秘密にしとこうと思ってたのに」

どうやらそのテに関してだけは、隠し事が下手らしい。



「幸せなことだな」

「うん。幸せだよ」


本当に。


……本当に。


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