07 / 希望に触れて



ぽん。


「え…、あ、何かご用ですか?」


肩を叩かれ振り返る。
首を傾げる。

すると相手は何故か真っ赤になって、すみません!といきなり深く頭を下げてきた。
そしてバタバタと逃げるように去っていく。

「…?」





あの!と、恐る恐ると言った体で掛けられた声が一つ。
振り替えれば数人の軍服姿の人間が。

「…?…僕に用ですが?」

自分よりも少しだけ背の高い彼らを見上げれば、いかにも緊張してアガり気味の上擦った声が聞こえた。

曰く、数日後に自分らは戦場に出るから、握手をしては貰えませんか、と。

「あ…ええ、そんなことで良ければ…」

微笑み、目の前の手を握り返した。





「キーラ〜」
「はい?……なんだディアッカ」


ぽん。

ぺた。

さわ。

どこん。


「おおぅ…ないす蹴り」
「はっ。身体が勝手に」
「うう…この護身術…。これでキラも一人前だなぁ…」
「それってどっから来る涙なワケ?」





「最近どうにも人との接触率が高い気がする」
「は?」
「いや、そのまんまなんだけどね。こう…肩とか腕とかイロイロ…」

親友の肩や腕をぽんぽんと叩いてみる。

「僕は別に接触嫌悪症でも何でもないから、別にいいんだけどさ。何でだろ」
「…いつの間に…」
「皆、人肌が恋しいのかなら」
「何でそうなるんだ…」
「…?…だって、機械ばっか扱ってると、掌の感触が冷たくなってくるじゃないか」

最近はプラントにも帰ってないしね。
ホームシックかなー。
軍人だって人だしさー。

「あのな…」
「はは。冗談」
「…無防備過ぎる…襲われても知らんぞ」
「勝てるならいつでもどうぞ」
「………」
「冗談だってばー」
「………」
「うーん…、…じゃあ何でだろ?僕って賭けや罰ゲームの対象にでもされてる?」

仕事の邪魔になることだけは、して欲しくないなぁ。

「むしろ逆だろうな」
「ん?」
「………ジンクス、か」
「???」














白い機体にぺたりと触れる。

その掌を見詰める。


「……。………。……ああ」


冷たくても。

その、………感触が。


握り締めたてのひら。

閉じた瞳。



そして…やがて振り仰ぐ真っ直ぐな瞳。



触れた指先と……、その、…………温もり。



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