06 / かりそめの



「そろそろ、時間、かな…」

カタリと立ち上がる音に振り返る『誰か』。

そろそろとは…何かこの後予定でも?…ヤマトさん。

空を仰いだ自分に掛けられた声。
緑の軍服。きっと部下なんだろう……人間。

…ごめんね。
君は僕を知っていても、僕は君を知らない。
けれども笑って答えを返す。


「うん、そう。……やらなければならないことがあってね」

そうですか。
どうぞ、お仕事頑張って下さい!

「ありがとう。貴方もどうか、頑張って」





「…ふぅ…」
「どうしたよ、キラ」
「お前がそんな溜息を付くなんて珍しい」
「…イザークもディアッカも、自分の部下の名前とか、全員知ってる?」
「まぁ何処までを部下とするかにもよるが」
「同感〜」
「それが何だ」

「名も知らない人間からの言葉って、時に辛いものだね…」


互いに知らないことが多過ぎて。


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