ほぉー…と。
目を輝かせるキラの視線の先には、青空に舞う鳥達の姿。ぐんぐん飛翔し、旋回し、地平線に消えていく。
それを飽きずに眺めている幼いキラの紫の瞳は、憧れのまなざしそのもの。
思わずくすりと笑ってしまうぐらい。
だから、アスランは聞いてみた。
『キラは鳥が好きなの?』
『うん。すごいよね、鳥って』
人にはない鳥の力を、純粋に称賛しているのだ。それは、何処までも飛んでいける翼に憧れているからだろうか。
『キラは、空を飛びたいの?』
アスランの問いかけに、キラはきょとんとする。それから首を振った。
『んーん』
否定が少し意外で、アスランの方こそ目を瞬いた。そうなの?と首を傾げる。
キラはにこりと笑い、そっとアスランの手を取った。
『だって鳥みたいに飛んじゃったら、こうやってアスランと手をつなげなくなっちゃうもん』
ぶらぶらと繋いだ手を揺らし、ね?と満面の笑みでキラは応えた。
『…うん。そうだね』
キラの向こう側に見える空。
それから、この繋いだ手と、その向こう側に見える青空が、いつまでも変わらないでいてくれますようにと。
アスランは願い、繋いだ手を握りしめた。