「太陽は、眩しくないですか」
レイは、海の見える高さからぼんやりと目の前の青を眺めるキラへと、そう声を掛けた。呼ばれて、顔だけが振り返る。
「あれ。もうそんな時間?」
「もう間もなくです」
「じゃあ、もう少しだけ、ね」
隣に並んで同じ景色を見る。
夏の色を模したような太陽が、視界の端からもその存在を主張して目を射った。
「太陽の色って、やっぱり金色って言うのかな」
ぼんやりとキラは呟いた。
「ディアッカの金髪は、真夏の太陽みたいだけどさ」
少しだけ視線を上げてみたけれど、あまりにそれは苛烈過ぎて目に出来よう筈もない。
「レイのは、それ」
指差した先は、涼やかな波間に眩しく光る、金色。銀色。割れた硝子の欠片のように、それは散りばめられ揺れていた。
横顔を仰いだら、ふっと笑みを浮かべたキラと目が合った。綺麗だよね。そう溢しながら。
「そろそろ時間だね。行こうか」
時が経ち、太陽は沈んでいく。
太陽は直視出来ないもの。してはいけないもの。青天に光るその時間には。
けれどその身は姿を変える。
水平線に消えていく太陽。
もしくは星の向こう側から昇り始めた太陽。
それなら、目にすることに傷みはない。
人々を惹き付ける優しい色になる。