「ああもうクソッ!」

シンはイライラとした足取りで担当の教官がいる整備室へと向かっていた。

理由は至極簡単。サボりのペナルティを受ける為だった。ここの処のルール無視が響き、とうとう注意される羽目になってしまったのだ。

前は平気だったのに…!

MS実習における実績で常にトップを維持していたから、それまでの教官達は多少の違反は見逃してくれていた。

が、最近着任した担当教官は、それを許してくれる性格ではなかったようだ。

所詮は自業自得なのだが。従来の反発精神がその罪の意識を遠くに投げ飛ばしてしまっているシンは、足音も荒く廊下を踏み鳴らしていった。



「あの!シン・アスカなんですけどっ!」

反省する気ないだろ、と突っ込まれんばかりの態度で、整備班の人間が行き来する格納庫にやって来たシンは。
自分の担当教官は何処にいるのだと、近くの人間に訪ねた。

そうしてやって来たのは。


「初めまして。シン・アスカ君。キラ・ヤマトです」

自分とそう歳の変わらない、紫の眼をした人間だった。


その瞬間。シンは、雷とかその辺りに撃たれたような衝撃を感じた。
俗に言えば、その雷はキューピッドの矢。

…―――――つまりは、一目惚れ。


「呼び出されたワケは、分かってますか?」
「は…い…」
「講義をサボりたい気持ちは分からなくもないから…まぁ、それは多少目をつぶります。でも、グループでやる実習は、さすがに見過ごせない」

理由、分かりますよね?

「皆に…迷惑をかけることになるから…」
「うん。そうですね」

素直な言葉に、キラの目が優しく和んだ。

そして、シンの鼓動も跳ねた。

「あの…」
「なに?」
「…これからの実習には、ヤマト隊長が付くんですか…?」
「全部ではないけど。実習絡みには多分そうなるでしょうね」

何かありますか?と問われて、いいえ!と首を振る。

「えと…、あの…、俺、もうサボったりしませんから!」
「はい。そうしてくれると嬉しいです」

これからよろしくお願いしますね。
にっこりと笑った新担当教官に、シンは勢い良く返事を頷き返した。


シン・アスカ。
新たなワンコ誕生の瞬間。

そして、青春の始まり―――――。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -