議長室。
執務机に向かっていたギルバートは、深い呼吸の声にふと顔を上げた。
応接ソファーの背もたれからはみ出した茶色い髪。今はそれが、力なく横たわっていた。
立ち上がってソファーを覗き込み、くすりと笑った。
案の定、少年は安らかな寝息をたてている。
机の上の愛用パソコンは、既にスリーブモード。今日も今日とて議長室を作業場に選んだそのパソコンの主もまた、眠りの中だった。
「まだ子供だな…」
その幼い表情は、見ているだけで幸せそうな寝顔だ。
青空。白い鳥。香る花。
平和を現すものは多い中で。
こんな、…すぐ隣にある子供の穏やかな寝顔もまた、平和の証。