あ、と思った時には轟音が響き渡り、雨が一斉に降り出した。さっきまではあんなに清々しく晴れ上がっていたのに。
ひとときも休まらない空の景色に、キラは仕方がないかと息を付く。
そういえば。これ、何かに似てる…。
…いや、誰かに似ている、と思った。
キラは暫し考え込み―――聞こえて来た呼び声に、ああ、と納得した。
…君だったか。
今日の君は、向日葵が映える快晴の空だろうか。一片の曇りすらない、空の蒼すら透明だと思えるような。
綺麗に揃えたように、雲間から光が射し込んできた。
それに眩しく眼を細め、振り返る。
その呼び声に答えるために。
見えたその姿は、とてもとても鮮やかに―――、
「…―――キラさん!!」
晴れ空みたいな元気さも、入道雲みたいな不満顔も、激情を飛ばす稲妻のような閃光も。
何処か懐かしい夕立降るアスファルトの匂いも、家族を思い出す優しい故郷の茜色も。
太陽を振り撒く満面の笑顔も。
みんな。
僕には眩しい―――夏色少年。