「彼女の周りには、いつも人が集まるな」
星の歌姫に花を贈る人々を画面越しに見詰めながら、ギルバートが呟く。
淡々とした口調には何の感情もなく、感慨もないように聞こえた。ただ、見た事実だけを言葉にして。
だから、キラも淡々と返した。
「貴方は他人に興味がないから」
人々の動向や性格を測る興味はあっても、他人の感情や気持ちには蓋をする。
だから、心を伴わない世界を望むのだ。
「人に無関心な人間のところに、人が集まるわけないじゃないですか」
ふ、とギルバートは目を閉じ笑う。
「そんな人間の傍に、君はいるんだな」
「…僕は集まってるんじゃなくて、付き合ってあげてるんです」
本音を隠した大人の笑みが、キラへと返る。
遠い場所―――優しい色に囲まれた彼女が画面の向こうで微笑う。
世界に波紋を広げる二人はまるで対なのに、何故こんなにも光と影の色をしているのだろう。
対色はそれを現しているように、身に纏う色もまるで正反対。
「白に白は、必要ないさ」
「………」
「無くても白は、輝くのだから」
「……自分が黒い自覚は、あるんですね…」
ならばせめて、灰色ぐらいには近付けよう。
いつか鈍く光る銀色ぐらいには、なるかもしれない。彼女もそう望む筈。
自分が白に属する人間だなんて、そんな自惚れを持っているつもりもないのだけれど。
2013/01/20 17:10