「見て!アスラン!さくらが咲いてる!」

誰かの家の庭に並べられた鉢植え。それを柵の向こうから指差して、キラは目を輝かせた。

反対にアスランは首を傾げる。
季節は冬。桜が花開くにはまだまだ遠い。
まして庭先には、桜が咲きそうな木々はない。

…並んで覗き込んだ庭先から、仄かな香りが漂った。

「あそこにあるピンクの花だよ」
「ホントだ…にてるね。…でもふつう、プランターに桜は咲かないし…」
「さくらじゃないのー?」

キラはあからさまにがっかりした顔をする。
しかし、その花はとても可愛らしくて、記憶の花にもよく似ていたから、キラの興味深そうな視線は外れなかった。

「なんて花なんだろ…」
「今度、しらべてみるよ」
「ホント?…やくそくね!」
「うん。約束」

小さな指切り。重なる笑顔。

今までも、そしてこれからも、こうして沢山の約束を交わして、僕たちは変わらぬ毎日を生きていく。

2013/01/02 01:12
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