D.G-Dr ほかも | ナノ


▼ 蛇と脱け殻

普段なら気にしない、小さく時を刻む音。
その音が思考の端に引っ掛かって、ぼやけた頭を起こしてみれば隣にあったはずの温もりはとうに消えていた。

「……Yu?」
「なに寝惚けてんだよ」

声がしたのは後ろから。「へ?」と頭だけで振り返れば上半身裸の神田が肩にタオルをかけてそこに立っていた。

「シャワー、浴びたの?」
「あぁ」

ガシガシと半ば力任せに髪を拭く仕草が妙に色っぽいなぁと考えながら神田の動作に見惚れる。

「つかお前、よく寝てられるな」
「え?」
「暑くねーのかよ」

あぁ、そういうことか、と納得して「だってー」と返事する。

「だって、なんだよ」
「んー…まー…ほら…ねぇ?」
「答えになってないだろ」

呆れたような、怒ったような声。そんな声ですらさっきまで彼にしっかりと愛され満たされた体に響くんだと言ったら、一体彼はどんな反応をするだろう。なんだか楽しくなってきて頬が緩む。その様子を見て「変な顔してんぞ」って言われたのには少し傷ついたけど、今はそれよりも幸せが体を包んでいる気がした。

「お布団、気持ちいいなぁって」
「布団好きなのか」
「うん……って、なに?」

あー幸せだ。このままもう一眠りしてしまおう、と体勢を変えれば見上げる形になった神田と天井。
あれ?これってどういうことだろう?

「煽んなバカ」

くっついた唇から舌が入りこんできて「あーまた幸せだー」なんて悠長なこと考えている暇があったら少しは抵抗するんだった。
結局、丸一日布団の上で過ごす羽目になると知っていたのは脱ぎ散らかした服だけが知ってる内緒のお話。



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布団にまで嫉妬って煽ってるのはどっち?

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