【二人の兄】

「必ず戻ってくるから待っていろ」
そう言って微笑んだ兄の顔を今でも鮮明に覚えている。
戦えない自分では足手まといにしかならない事を理解していたが鳴り止まない銃声に部屋の外に出た、冷たくなった両親を発見した時今まで内に貯めていた怒りが爆発した

痛みなんか怖くない、皆殺しにしてやる

「…子虫達が群がって何をしているのかしら?」
城の奴隷を氷漬けにし広間に集め、一人一人死ぬまで氷柱を突き刺した。結局主犯は分からず、兄の行方も分からず
命乞いする奴隷達を蹴り上げ吐き捨てる
「フェリオ兄様が帰ってくるまでに言い訳でも考えておくのね、こんな遅くに飲み歩いていたなんて…楽に死ねると思わないでよ?」

私のやらなければならない事は決まってる、休んでる暇なんてないんだ
適当な物を詰めて戦闘狂の元へと向かった

「サラ兄様、リザリーに戦い方を教えてくださいまし」
「…あ?お前副作用あるだろ、まだ早……いいぜ、俺に着いて来い」
真っ赤なドレスで正解だ、私の姿を見て理解してくれたのだろう…口に出したら泣き崩れてたかな

頭を撫でる手が暖かい…サラは生きてる。お父様とお母様は…死んだ


「見稽古?」
「あぁ、説明するより身体で感じろ。泣き言言ったら叩き出すからな」
それから家族のように何処に行くのも一緒にいた。時に厳しい事も言われたけど手は離さないでいてくれた

見稽古の成果かやっと人並みに能力を使えるようになった反面サラは体調を崩しやすくなっていた、ついこの間隙をつかれた私を庇い顔と背中に大怪我をした、顔の包帯はまだ取れていない…

私がそばにいたら貴方は壊れてしまうのかしら?

「サラ兄様、お世話になりました。これからは自分の足で歩いていきます」


現在二人の兄には恋人がいてその人の前では幸せそうな笑みを浮かべている。
私の知らない兄の顔…少し悔しいような気もするけれど、時期が来たら花を贈ろう…匿名で




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