【パズルのピース】

能力の副作用を恐れた事はなかった。治癒能力者の両親とは月に一度会えたらいいほうで、使用人に囲まれ拘束される事が当たり前と感じてしまう程感覚は麻痺していた

これから自分が国の為使い捨ての駒にされるぐらい分かりきった事で、それならいっそ全て忘れて壊れたい願望が強い

フェリオは部屋の窓を開いて窓の外を見た、年の離れた妹、リザリーが珍しく笑っている。何時もは部屋から出てこないあの子を連れ出すのは一つ年上のサラ…両親が呪い能力者で全く抵抗がないらしくリザリーもすぐに懐いた

自分とは対照的な彼に嫉妬していた、流されるままの自分がとても小さく見えた…何時も妹の隣で寄り添うのはサラで自分ではない、自分が他人でサラがリザリーの兄なのではないかと時々思った


「お兄様!開けてください、一人にしないで」
「…少しの我慢だよリザリー…必ず戻ってくるから待っていろ」

族に攻め込まれ人目のつかない部屋にリザリーを連れて行き鍵をかけた。
広間に戻ると激しい銃声と共に屋敷も親も真っ赤に染まっていく…使用を禁じられていた能力を無我夢中で使ったが想いも虚しくも一夜で落ちた


俺は誰?




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