【ペンネームは旅人】
前の主人が死に新しい国の奴隷に、何度目かは今更数えていないがかなりの国を見て来たのではないかと思う。
キョウヤは貴族の目を盗み城を探索していた、城にある医学書を読むためだ。
治癒能力者として生まれたからなのか、医者になって沢山の人を治したい…物騒なこの時代に随分とおめでたいく無謀な将来設計である。
何故ならキョウヤの治癒能力は他人に使える力はほんの僅か…自己再生に特化した型なのだ
労働をサボり好き勝手やっているのだから見つかったらどんな罰が下るだろうか…
元々父の体調が治りさえすれば自分は平民に戻れるのだから…と、根拠のない自信があるようで
「…なんだこれ、新しいな」
腰掛けた席から目に留まった一冊の本…いや、誰かの日常が記されたノート
パラパラと読み進めていくと昨日のページになった、人のプライベートを覗き見て不謹慎極まりないがこの日記を書いた主が気になって、一度は閉じたノートをまた開きはじめから読み込み遂にペンをはしらせた
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始めまして茨の君。私は旅人…世界各国の景色をこの目に焼き付けて来ました。今度はあなたの心の中を旅先に…なんて