【女神のオルゴール】
初めて人を殺したのは5歳の時だった。呪い能力の両親に護身術と説き伏せられ拳銃で奴隷を撃った
銃声と悲鳴が頭の中に繰り返し再生される、当然か…普通の考えなら幼子に人を殺めろという事自体どうかしているのだ
「疲れているね…父に言ってみなさい、留守中に使用人に何かされたのか?」
「父上…いえ、何でもありません」
父の問いには答えず背を向け寝室に足を進めた、いらぬ心配をさせてしまった…使用人がまた余計な事を吹き込んだのだ
(旦那様が拳銃を持たせた日からサラ様は毎晩魘されている)
浮遊能力者には必要のない知識だと涙する使用人達…枕元で毎日泣かれては鬱陶しくて寝付けやしない
身内が呪い能力者である事も 人の命を奪う行為も正直どうでもよかった
お前達が見下す呪い能力者の血が俺の体内に流れているのを忘れているのか?父への侮辱は俺を侮辱したも同然なのだ…頭が高い
初めて発砲した日から一週間、部屋の前にいた使用人の脳天狙って引き金を引いた
真っ赤に染まった6歳の誕生日。父からは拳銃、母からはオルゴールを貰った
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「サラ様、寝付けないのですか?」
「…あん?なんだよ急に」
「はぁ…いい加減何度もリピートされては鬱陶しいので歌ってあげますよ」
時々音が飛ぶオルゴールを引き出しにしまい声の主を腕の中に閉じ込める
「お前は壊れるなよ、アルバート」